聞きたくても本人には聞けない…

これまでは、家族のために書類一式を残しておき、利用している銀行口座や年金、公共料金について知らせていた人もいるだろう。そうでなくても、毎月送られてくる請求書を頼りに取引先を探すこともできたはず。しかし、ペーパーレスのオンライン社会では、こうした“紙”がまったく見当たらないケースもある。

いくら親しい相手でも、携帯電話会社や年金機構がどこなのかまでは知らないことも多い。誰かが亡くなった後、遺族はまずその会社がどこなのかを知る必要がある。しかし、亡くなった本人に尋ねることはかなわない…。

Sarah Giblin Photo credit Christoph Voy 2023

Whennを開発したSarah Giblinさん自身、昨年初めに父親が急逝し、その後、遺言執行人として亡き父に関する事務的な手続きに追われた。

自身の経験をもとに、自分と同じような立場の人を助けるツールを開発。こうして、デジタル時代に“亡くなる”準備の一助となるWhennは誕生した。なお、同アプリは英国人を想定して作られたものだが、日本でも同じようなツールを望む声も多いのではないだろうか。

(文・根岸志乃)