内田篤人氏(写真左)と槙野智章氏(写真右) 写真:Getty Images

 かつて浦和レッズやヴィッセル神戸でプレーしていた元日本代表選手の槙野智章氏は、神奈川県社会人サッカーリーグ品川CCの監督に就任。以前、本田圭佑氏とともに日本サッカー協会(JFA)指導者ライセンスの不要論を提唱していたが、ここにきてライセンス取得が必要との見解を示している。

 指導者ライセンスについては、本田氏が2021年2月に「ヘッドコーチになるためにサッカーのコーチライセンスが必要な理由がわかりません。優秀である必要はあります。ただ、会社のCEOになるための免許は必要ありません」と投稿。当時カンボジア代表GM(ゼネラルマネージャー)として同国代表チームを指揮している立場から、ライセンス取得義務に異論を唱えていた。

 また昨年11月のカタールW杯・日本代表対ドイツ代表の試合後には「日本サッカー協会はプロの指導者ライセンスを残しつつ、ライセンスがなくても誰でも監督になれるようにするべき。どの指導者と契約するかは経営者の責任。逆にユース年代の指導者ライセンスは今よりも厳しくするべき」と、再び持論を展開。

 この本田氏の意見に対して、槙野氏は「選手として価値がある中で、引退したら監督になるまでにはライセンスを取得するまで数年がかかる今。引退した後にすぐ監督が出来るような選択肢があれば、それは本人にとってもチームにとってもファンやサポーターにとっても嬉しい事ではないかな。僕はすぐにでも監督したいから賛成だ」と反応していた。

 一方、かつて日本代表で本田氏とチームメイトだった内田氏は、Jリーグの監督に必要な最上位資格であるS級ライセンス取得にむけて始動。DAZN制作『フットボール・タイム』出演時、JFAのS級コーチ養成講習会に対する前向きなコメントを残していた。

 「ライセンス自体はあまり知られていないけど、B級やC級だと保護者が受けられるようなレベルになっている。(C級では)知らないおじさんと一緒に授業を受けて、一緒にサッカーやって。そういうのがすごい面白い」

 「子供と保護者の関係や女子サッカーの環境とか分からないから、そういう話を聞くと『指導者ライセンスって、そういうところからやっていくのが大事なんだな』と思う。幅広く学ぶというのも、結構面白い」

 カタールW杯開催時にはライセンス不要論に賛同していた槙野氏だが、今年5月に那須大亮氏らとともにA級ライセンス合宿へ参加した際、自身の心境に変化が。『ABEMAスポーツタイム』のインタビューで、以下のようなコメントを残している。

 「ライセンス取得は絶対必要。(ライセンス合宿は)必要な時間だったと思う。選手として見るサッカーと、指導者として見るサッカーは全く違う。選手時代にはあれだけ見えていた周りの景色が、監督になるとボールやプレーヤーを追ってしまい、視野が狭くなる。そういう意味で、このライセンス合宿で見えてこなかった景色が見えるようになってきた」

 『ABEMAスポーツタイム』の番組内でA級ライセンス合格を報告したほか、日本代表監督になることを最大の目標に掲げた槙野氏。将来、内田氏や本田氏と互いに指導者という立場で再会するかもしれない。