長期熟成酒という稀少な味わいを届ける日本酒ブランド「八継」。

同ブランドは、「八継 刻15 実楽」のオンライン限定販売を開始した。プレミアムな日本酒を楽しみたい人はチェックして欲しい。

長期熟成酒という稀少な味わいを届ける日本酒ブランド

長期熟成を経ることで生まれる、人の手を超えた「時間」という価値。日本酒ブランド「八継」は、2023年3月、通常3年以上で古酒といわれる日本酒の業界において、50年熟成という稀少性の高さを誇る「八継 刻50|純米」「八継 刻50|本醸造」を発表した。価格は、いずれも250,000円(税別)。

新たにラインナップに加わる同商品は、そのエントリーモデルとして、熟成酒の味わいをより多くの人に楽しんで欲しいとの想いから、発売を迎えるに至った。

山田錦の名産地と蔵元の絆が育んだ、バランスの良い酒

実楽(じつらく)とは、兵庫県三木市吉川町にある集落の名前。山田錦の名産地として知られ、米づくりに適した地質と地形に恵まれたこの地域には、いくつかの古墳が見つかり、古くからそこで人が暮らし、稲作を営んできた歴史を物語っている。

実楽では、地域の米づくりを守るために、農家と蔵元が協力して「村米制度」と呼ばれる関係を築き、明治時代から今日に至るまで、130年以上にわたって絆を育んできた。これまでに何人もの酒の造り手たちが実楽に通って米づくりを学び、田んぼに入り、地域の人と語らいながら、米を大切に扱うことを身をもって教わってきた。

実楽の山田錦から造る日本酒は、甘味や酸味、旨味、渋味、ミネラル感などの味わいをバランス良く含み、どれかひとつの味が突出するのではなく、全体をやわらかく包み込み、酒の味をまとめ上げるような力をそなえている。

実楽と縁のある蔵元は、その深みと膨らみのある味わいをさらに生かすために、生酛造りという伝統的な手法を採り入れた。生酛造りは「お酒の味わいがゆたかになる」「味に深みや膨らみが出る」と言われる。しかし、研究を重ねて辿り着いた味はそれだけでなく、後口のキレが驚くほど研ぎ澄まされ、酒の造り手だけでなく地域の人々も「これなら」と頷く一品に辿り着いた。

クリアに澄みわたる味わいへ

バランスの良いスムーズな味わいと、最後に感じられるキレの良さ。そこに、長期熟成による「時間」という価値を加えたのが、「八継 刻15 実楽」だ。

熟成酒にすることで、酒の持つ味わいはより膨らみ、ナッツやキノコを思わせる香りのニュアンスが添えられ、色合いも少しずつ濃くなっていく。しかしさらに年数が経つと、ベテランの造り手たちでも予想できなかった変化が生まれ、酒のなかにあるタンパク質が他の成分とともに滓(おり)となって沈んでいくことで、味わいはむしろクリアになり、軽やかな心地よさを感じられるものになっていく。

山田錦の名産地、実楽で、ゆたかな歴史と文化に育まれて生まれた米。その米が、昔ながらの生酛造りで味わいを磨き上げ、さらに「時間」によって研ぎ澄まされていく。貯蔵庫のなかで静かに熟成を重ねてきた同商品は、風土のちからと時間を掛け合わせたゆたかな実りで、ユーザーを楽しませてくれる。

伝統と共創が紡いだ、世界に一つだけの和紙

「八継 刻15 実楽」が生酛造りという伝統的な製法によって磨かれ、米の作り手と酒の造り手たちの共創によって育まれてきたように、ラベルにも伝統と共創が息づいている。

素材は、日本の伝統工芸である“和紙”。徳島県の阿波エリアで抄造される阿波和紙(あわわし)は、およそ1300年もの歴史を持ち、肌触りと生成(きなり)の風合い、そして、薄くても水に強くて破れにくい丈夫な紙質を特徴としている。昭和51年12月には国の伝統的工芸品に指定され、国内外のアーティストたちからも絶大な支持を受け、阿波和紙を使用した芸術作品も多数生まれている。

この和紙に、日本酒の製造工程で米を精米した時に出る“米糠”を混ぜて漉き上げることで、世界のどこにも存在しない希少なオリジナル和紙が生まれた。

この和紙は、大阪に本社を置く寿精版印刷が2025年大阪・関西万博での共創チャレンジとして取り組んでいる活動。凹凸のある和紙の表面に精巧な印刷を施す技術と、地域や産業を越えた共創によって実現したラベルだ。

同ブランドの中では比較的手の届きやすい同商品を手に入れてみてはどうだろう。

八継 刻15 実楽
熟成年数:15年
内容量:720ml
価格:30,000円(税抜)

(角谷良平)