イングランド南部のルイス地区に拠点を構えるルイスFC。女子チームはウィメンズ・チャンピオンシップ(英2部)、男子は主にセミプロが活動するイスミアリーグに所属している。
現時点でトップを争う強豪チームではないが、注目すべきは地域とクラブの強固な繋がりだ。それを裏付ける取り組みのひとつが、地域住民はもとより世界中の個人を対象にしたオーナーシップ制度。英国サッカーはもちろん英国文化そのものが好きな私は、2023年6月14日に開催された女子サッカーの未来を考えるスポーツビジネスカンファレンス『Women’s Football Industry Conference 2023』で初めてその制度を知り、オーナーになる選択をした。
ここでは、オーナーになってから約半年で見えたルイスと地域との関わりや、男女平等化への取り組み、オーナーシップ制度の概要について紹介する。
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世界初の男女平等クラブが目指すもの
地域との繋がりが強いこと以外に、ルイスの特徴として女性のエンパワーメントに関する取り組みを積極的に行っている点が挙げられる。最近の成果としては、女子FAカップ(イングランドの女子サッカーカップ戦)の賞金増額が注目を浴びた。
2017年に世界初で唯一、活動予算に男女格差のないクラブとなったルイスは、2019年から賞金の男女平等化を促進させるキャンペーン(Equal FA Cup)を立ち上げ、所属選手が中心となり男女平等化のメッセージをSNS上で発信したり国会議員へ直接届けるなどの活動を続けてきた。その地道な活動が功を奏したのか、昨2022/23シーズンの女子FAカップでは10万ポンド(約1千900万円)だった優勝賞金が今季は43万ポンド(約8千万円)へと増額。その他賞金総額も昨季より300万ポンド(約5億6000万円)増え、計約600万ポンド(約11億1千万円)となっている。増額理由は明らかにされていないため、ルイスだけの功績と断言することはできないが、少なくとも過去数年にわたって働きかけてきた成果を感じられる出来事であった。