携帯キャリア4社のユーザーは、楽天モバイルなら楽天銀行、ソフトバンクならPayPay銀行という具合に、銀行や証券会社を選ぶ際に各キャリアのグループ会社を積極的に活用しているのだろうか。MM総研が発表した調査結果によると、楽天モバイルユーザーの楽天銀行利用率が50.8%、楽天証券利用率が29.5%とトップで、楽天経済圏への囲い込み強化が奏功した結果に。契約キャリアと、キャリア傘下のサービス利用率との関係性を示す「クロスユース率」は、今後のキャリア勢力図にも影響するかもしれない。
楽天モバイルユーザーの半数以上が楽天銀行を利用
ICT市場調査コンサルティングのMM総研が、携帯キャリア4社が自社グループで提供する、銀行、証券サービスのクロスユース率を調査した。クロスユース率とは、「携帯電話利用者」が、契約先の携帯キャリアが提供する各種サービスを『最も利用している』と回答した比率のことで、各社が自社の各種サービスでグループ内の相乗効果を上げる「利用者の囲い込み」を考える際の重要な指標になっている。
この調査は、15歳から79歳の携帯キャリア4社を利用している36,949人を対象としており、銀行口座と証券会社の利用状況について確認している。その結果、携帯キャリアと銀行のクロスユース率は楽天モバイルが50.8%でトップだった。楽天モバイルのユーザーの半数が楽天銀行の口座を所持しており、21.3%は楽天銀行をメインで利用しているという結果だった。次いで、ソフトバンクユーザーのPayPay銀行利用率が13.8%、auユーザーのau自分銀行利用率が12.6%。なお、2023年8月時点での調査のため、ドコモユーザーはクロスユース率から除外されている。
全キャリアが最も使っているのが楽天証券と、証券でも高い利用率を誇る楽天
銀行の利用状況を見ると、キャリア傘下の銀行がランクインしているのは楽天銀行のみで、他の3キャリアの利用率1位は地方銀行だった。また、4キャリアとも2位はゆうちょ銀行という結果だったのもおもしろい。
楽天モバイルユーザーの楽天銀行利用率が高いのは、「ワンクリック申し込み」がその要因の一つに挙げられる。2023年7月から、楽天銀行、楽天証券、楽天生命保険を契約していれば、楽天モバイル申し込み時に本人確認が不要になるというものだが、楽天経済圏への取り込みが強化されているのだ。
また、証券口座の利用率を見ると、楽天モバイルユーザーの楽天証券利用率は29.5%で、メイン利用率は21.6%とともにトップだった。auユーザーのauカブコム証券利用率は3.6%、ソフトバンクユーザーのPayPay証券利用率は1.4%と低く、ソフトバンク、ドコモ、auユーザーが最も利用している証券口座は楽天証券との結果に。楽天証券は携帯キャリアにかかわらず圧倒的なシェアを誇っているようだ。
こうしてみると、クロスユース率の高さは楽天が断トツということがわかる。KDDIは通信と金融サービスを融合させた料金プランである「auマネ活プラン」を導入したり、ドコモはマネックス証券と資本業務連携をしたりと、政府の「貯蓄から投資へ」との方針が背景にある資産形成を促進する流れは今後も変わらないだろう。クロスユース率はキャリアの勢力図にも影響を及ぼす可能性もあり、大事な指標となりそうだ。
出典元:【MM総研】
文・ オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ
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