ビンラディンはそのパンフレットの中でイスラム原理主義と反ユダヤ主義を特徴とする彼の世界観を説明し、さらなるテロを予告し警告を発している。なお、ビンラディンは2011年にパキスタンで米軍特殊部隊によって殺害された。

ガーディアンは20年以上たってから関心を呼び出したビンラディンのパンフレットの翻訳が、元の文脈なしにソーシャルメディアで広く共有されたとして、ウェブサイトから削除した。同紙は「当社のウェブサイトに掲載された記録は、完全な文脈が伝えられずにソーシャルメディアで広く共有されている。そのため、当社はそれを削除し、代わりに読者を文脈を踏まえた報告書に誘導することにした」と説明している。

ビンラディンの文書が米国のパレスチナ支持者らによって称賛されているという報告がX(旧Twitter)やその他のソーシャルメディアで広まった。人々に手紙を読むよう呼びかけた若者たちのTikTok動画が証拠となった。特に米国の多くの若いユーザーが、読書体験を短いビデオで報告している。エルサレム・ポストが書いているように、関連するハッシュタグ#LetterToAmericaは、#freepalestineに加えて、TikTok上ですでに400万回以上使用されているという。

TikTokの広報担当者は、「この書簡を宣伝するコンテンツは、あらゆる形態のテロ支援を禁止する当社の規則に明らかに違反している。当社はこのコンテンツを削除し、どのようにして当社のプラットフォームに掲載されたのかを調査している」と付け加えている。

以上、ドイツ通信(DPA)からの記事(11月16日)を参考に報告した。

ビンラディンの亡霊が欧米社会に現れ、10月7日のテロ奇襲を正当化し、反ユダヤ主義を煽っているわけだ。生きている人間が自身の政治的信条を拡散するために亡霊を目覚めさせることは危ない。亡霊や悪霊の存在を信じない人々にとっては理解できないかもしれないが、生前の恨み、憎悪を昇華せずに墓場に入った亡霊は地上で同じような心情、思想をもつ人間がいれば、そこに憑依し、暴れ出す危険があるからだ。欧米にビンラディンという亡霊が彷徨し出したのだ。

ウサーマ・ビン・ラーディンとアイマン・ザワーヒリー(2001年)Wikipediaより(編集部)

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年11月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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