公道では自動車やバイクのほか、歩行者や自転車などさまざまな交通主体が移動しています。そのなかでも自転車は、車のドライバーの死角に入りやすいことや、人力でありながら速度が出やすいことなどから、事故につながりやすい傾向が指摘されています。
警察庁交通局の「令和4年中の交通事故の発生状況」によれば、2022年中に起きた交通事故のうち、自転車関連の事故は約2割に上ります。安全な交通環境のためには、車のドライバーの方でも「自転車にとって危険なシチュエーション」について理解しておくことが求められるでしょう。
今回は、自転車を主な通勤手段としている方を対象に、「車に対してヒヤッとする瞬間」について話を聞きました。
目次
駐車場から出る車、こっちに気づいていない?
車の死角に入ってしまう恐怖
自転車の車道通行、車との距離が近い!
車道通行のルールは実態に見合っていない
駐車場から出る車、こっちに気づいていない?
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先述のように、自転車が事故に遭遇しやすい原因の1つとして、「ドライバーの死角に入りやすいこと」が挙げられます。自転車側の視点から見ると、「車が自分に気づかず接近してくる」という状況も少なくないようです。
「コンビニやスーパーの出口で、道路に出るときに自転車を意識していない車が結構いるように思います。
こちらはとくに急いでいるわけでもなく、左側を普通に走行しているのですが、駐車場から出ようとしている車が直前にこっちに気づくというか。一応、それまでも左右を確認していると思うのですが、自転車は見落とされがちだと感じますね」(20代女性)
ここで指摘されているように、駐車場から公道に出る際、ドライバーの意識は「車道を走る車やバイク」あるいは「歩道の歩行者」に向きやすいのかもしれません。スピードの早い車両と、ゆっくりと移動する歩行者、どちらともペースの異なる自転車は、意識して注意を向けないと気づくのが遅れてしまうこともあると考えられます。
車の死角に入ってしまう恐怖
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上のお話に近い意見は、交差点に関しても寄せられました。
「通勤で自転車専用レーンのある幹線道路を通るのですが、行きは下り坂が多く、かなりスピードが出てしまいます。ほかにも結構自転車が通っているので、邪魔にならないよう自然とペースも上がってしまうんですよね。
怖いのは、右カーブの下り坂の途中にある交差点です。そこの右折レーンはいつも混雑しているので、対向の右折車から自転車やバイクが見えにくいんですよね。
私の方でも、とくに直進車が途切れたタイミングでは『右折車が来るかも』と注意していますが、スピードを落とさず交差点に突っ込んでいく人も多くて、いつもヒヤヒヤしています」(30代男性)
上のお話にもあるように、道路環境によって死角が生じてしまうケースは少なくありません。道路上で安全が確認できない箇所があるときには、「大丈夫だろう」とそのまま進むのではなく、十分に状況を把握できる速度まで落としたうえで進行することが重要だと考えられます。