女の子がいると少年合唱団の歌はより輝きを増すようです。

デンマーク・オーフス大学(Aarhus University)の脳内音楽センター(MIB)によると、この効果は特に低音部のバスを担当する16〜19歳の少年たちに見られることが分かっています。

彼らの歌声は客席に10代の女の子がいる場合、声をより深く響かせる特定周波数が増幅されるという。

さらに同チームは今回、客席の女の子の方も(自分たちの存在によって)ブーストされた少年の歌声を好んでいる可能性があることを発見しました。

少年たちの張り切りはちゃんと女の子に伝わっているのかもしれません。

研究の詳細は、2023年11月8日付で科学雑誌『Biology Letters』に掲載されています。

女の子がいるとバス担当の少年が覚醒する?

研究主任のピーター・ケラー(Peter Keller)氏が、この女の子の存在による歌声のブースト効果を見つけたのは2017年のことです。

きっかけは、独ライプツィヒの有名な聖トーマス教会少年合唱団の元メンバーだった学生に「客席に女の子がいると自分たちの歌がよりよく聞こえた」という話を聞いたことでした。

そこでケラー氏は聖トーマス教会少年合唱団の協力のもと、客席に女の子がいる場合といない場合で歌声がどう変わるかを調査。

すると16〜19歳のバス担当の少年たちは、15〜16歳の少女たちが客席にいた場合、音のエネルギーが集中する特定の周波数(2500〜3000Hz)が増強することが判明したのです。

バッハ作曲の讃美歌を歌うトーマス教会少年合唱団
Credit: accentusmusic – J. S. Bach – Mass in B Minor, St. Thomas Boys Choir, Freiburg Baroque Orchestra(youtube, 2014)

これと同じブースト効果は、ソプラノやアルトといった高音部を担当する12〜13歳より幼い少年たちには見られていません。

このことから、すでに性成熟に達している16〜19歳の少年たちは、無意識的にも女の子の視線を気にして、自分の声がより深く響くように「張り切った」と考えられるでしょう。

その一方で、少年たちの歌声は確かに女の子がいる場合にエネルギーが増強されていますが、それは周波数レベルで捉えられる微妙な差であり、彼らの「張り切り」が女の子たちに伝わっているかは不明でした。

そこでケラー氏は、少年たちのブーストされた歌声が実際に女の子にアピールする力を持っているかどうかを検証しました。