鍛鉄工芸「HOUSEHOLD INDUSTRY」の個展が、目黒区のギャラリーLOWW(ロウ)にて、12月1日(金)~12月26日(火)の期間に開催する。
同個展では作品の展示とともに、植物のオブジェのほか、花器・カトラリー・装身具の展示販売も行うので、興味のある人は訪れてみたい。
強固な鍛鉄を通じて力強さ・儚く消えそうな弱さを表現
今回開催を迎える鍛鉄工芸「HOUSEHOLD INDUSTRY」の個展では、美しく、力強く生きる植物のフォルムを強固な鍛鉄によって表現。同時にその鍛鉄作品は、生命としての共存や儚さといった、自然界で繰り返されてきた宿命的な「配慮」さえも形成する。
「HOUSEHOLD INDUSTRY」として創作を行う鍛鉄工芸家・武田伸之氏は、1977年、和歌山県海南市に生まれた。大阪芸術大学金属工芸学科を卒業したのち、機械メーカーでの勤務を経て、工芸作家・西田光男氏に師事。2013年に「HOUSEHOLD INDUSTRY」を設立し、和歌山県海南市に工房とショップをオープンした。
鍛鉄(wrought iron)とは、鉄を赤く熱し、叩いて形づくるヨーロッパ発祥の手法だ。家主が自分の権力などを誇示するため、強さや華やかさを求めて鍛冶職人black smithに製作を依頼したことが元だという。ヨーロッパでは、鍛鉄は強さの象徴であった。
しかし武田氏は、その強さや華やかさとは相反する考え方を自らの鍛鉄に込めているという。
同氏は自身の創作について、以下のように語っている。
「日本の土壌には、詫びしさ・脆さ・儚さなど独自の美意識が根付いている。暮らしの中で感じる身近なことをモチーフとして、その美意識の中にある強さや生命感を表現したい。
鉄の根の張るような力強さと儚く消えそうな弱さ、人の手から叩き出す感情や形の美しさ、これこそがわたしの表現したい鍛鉄です」
「HOUSEHOLD INDUSTRY」の個展で武田氏の作品を鑑賞し、同氏が鍛鉄を通じて表現する「侘び」「寂び」を感じてみよう。
HOUSEHOLD INDUSTRY Exhibition
会期: 12月1日(金)〜12月26日(火)
会場:LOWW(ロウ)
所在地:東京都目黒区大岡山1-6-6
開催時間:12時〜20時
休廊日:水曜・木曜
入場料:無料
(高野晃彰)