陸上生物の雄であるトラですが、実は水中にもその名を冠するものがたくさんいます。ちょっと特殊な読み方をするものも含めてご紹介します。

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意外と多い「トラ」が名前につく魚介類 『虎魚』の読みには注意?

名前に「トラ」がつく魚介類

日本の国民的スポーツ・プロ野球は、実に38年ぶりとなる「タイガース」の優勝で幕を閉じました。年間を通じて強さを発揮し続けたこともあり、例年よりも多くの場面で「トラ」「虎」の文字を見かけたような気もします。

意外と多い「トラ」が名前につく魚介類 『虎魚』の読みには注意?トラ(提供:PhotoAC)

さて、当サイトは魚に関する記事を公開しておりますのでこの流れをそのまま水中に持ち込ませていただきたいのですが、実は魚や甲殻類など多くの水生生物で「トラ」の名前を冠するものがいます。今回の記事ではそのようなものをご紹介できればと思います。

ちなみに筆者はライオンズのファンなのでどちらかというと「獅子」がつく魚をご紹介したいのですが、今回は我慢します。

トラフグにトラギス

我が国のあらゆる魚介類の中で最もよく知られた「トラのつく魚」は、間違いなく「トラフグ」でしょう。国産魚の中では最も高価なもののひとつであり、猛毒なのに食用でもある不思議な魚としても知られています。

トラフグほどの知名度があるわけではないですが、これに次いで有名なのは「トラギス」ではないでしょうか。キスと同じ砂泥底に生息する魚で、キス同様に天ぷらで美味しく、体表に縞模様があるため「トラギス」と呼ばれます。

意外と多い「トラ」が名前につく魚介類 『虎魚』の読みには注意?トラギス(提供:PhotoAC)

軟骨魚類のトラ

軟骨魚類にもトラがいます。「トラザメ」「トラフザメ」がそれで、紛らわしいことにこの2つは別種です。トラザメには縞模様がありわかりやすいのですが、トラフザメは斑点模様でトラというよりもむしろヒョウを思わせます。しかしこれも幼魚のうちは縞模様を持ち「なるほど虎斑(とらふ)鮫だ」と思わせます。

意外と多い「トラ」が名前につく魚介類 『虎魚』の読みには注意?トラフシャコ(提供:PhotoAC)

甲殻類では「トラフカラッパ」「トラフシャコ」などがトラの字を標準和名に冠するほか、数多くのエビが「トラエビ」という地方名を持っています。これは縞模様を持つエビがとても多いためです。ちなみに冷凍エビとして知名度の高いブラックタイガーも、やはり黒い縞があることから名づけられました。

「虎魚」はなんて読む?

さて、そんな「トラ○○」と呼ばれる魚介類の中で、ちょっと毛色の違うものがあります。それは「虎魚」。これはトラザカナではなく「オコゼ」と読みます。

オコゼは浅い海に生息するカサゴ目の魚で、代表種であるオニオコゼをはじめ多くの種が、トゲや皮弁に覆われたいかつい顔をしており、大変迫力があります。この怖い顔をトラになぞらえてこのような漢字を当てられたのではないでしょうか。

意外と多い「トラ」が名前につく魚介類 『虎魚』の読みには注意?オニオコゼ(提供:PhotoAC)

なお、オコゼという名前自体は「おこ(醜い)」+「ぜ(魚)」という合成語であると考えられています。読みと字で意味が全然違うというのもユニークであると感じます。

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<脇本 哲朗/サカナ研究所>