後日になって判明したが、ネハンマー首相が先月26日、オーストリア共和国への忠誠を誓った女性兵士25名を含む950名の新兵の宣誓式に出席し、国の歴史、国防の意義などを語っていた時だ。オーストリアのメディアによると、80人の新兵が循環器系の不調のために早々と退席し、14人の新兵は意識を失い、その場で倒れたというのだ。
緊張していたこと、天候が暖かく、ユニフォームが重く、苦しかったこともあるだろう。それにしても、若い新兵が1人ではなく、14人も次々と意識を失って倒れたというのだ、その度に、軍関係者が意識不明で倒れている新兵を運び出すシーンが見られた。
首相の演説は14分間だった。予定では5分だったが、首相は持ち時間を大きくオーバーした。しかし、退席したり、倒れる新兵たちが続出するシーンはやはり問題だといわざるを得ないだろう。野党の社会民主党(SPO)議員が後日、議会でこの件をタナ―国防相に質問している。ネハンマー首相の予定以上に長かった演説か、天候のせいか、それとも新兵たちの基礎体力の問題か、さまざまな意見が聞かれたという。
それにしても、若い新兵たちが首相の14分間の演説を直立不動の姿勢で傾聴できない、ということは少々心細い、ロシア軍が侵攻してきた時、オーストリア連邦軍はウクライナ軍のように勇敢に祖国防衛のために戦うことが出来るだろうか、という一抹の不安が出てくる。
最新の武器システムは購入できるが、祖国防衛のために戦うスピリットは買えない。戦後から中立主義を堅持してきたオーストリア連邦軍は国連平和活動以外、実戦体験はほとんどないから、新兵に多くは要求できない。それこそ“ないものねだり”といわれてしまう。
いずれにしても、80人の兵士が気分が悪くなって退席し、14人の新兵たちが意識不明になって倒れた、というニュースを国民はどのように受け止めただろうか。最近の若者はだらしない、と叱咤する国民も出てくるだろう。一番いいことは、戦争が起きないことだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年11月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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