自動車の姿は、開発されてから現在に至るまで、ほとんど変わっていません。
もうそろそろ「新しい自動車のかたち」へと変化してもいい時期なのかもしれません。
バランススクーターを生み出したアメリカの発明家シェーン・チェン氏は、最近、まるでバランススクーターのような新しい自動車を考案しました。
その電気自動車(EV)は、車体の左右に1輪ずつしか車輪がありませんが、バランススクーターのように重心を移動させながら走行できるようです。
未来のクルマのかたち?バランススクーターみたいな二輪EV
2011年、発明家のシェーン・チェン氏は、バランススクーター「Hovertrax」を開発しました。
バランススクーター(ホバーボードと呼ばれることもある)とは、ハンドルがあるスクーターとは異なり、体重移動だけでコントロールする2輪の乗り物です。
電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」からハンドルを取り除いたような見た目をしています。
日本ではバランススクーターを使って公道を走ることはできないため、あまり見かけることはありませんね。
しかし世界的には「近未来のモビリティ」として注目を集めています。
そして最近、チェン氏は、以前に開発したバランススクーターのノウハウを用いて、新しい自動車のアイデアを考案しました。
その未来のクルマは、彼自身の名前から「シェーン(Shane)」と名付けられています。
シェーンは通常の自動車とは異なり、2つの車輪しか持たない電気自動車です。
「これぞ未来のクルマ」と言いたくなるほど、ユニークで洗練されたデザインですが、安定性が気になります。
特に発進時や停止時には車体の加減速により、前部や後部が上下に傾くはずです。
走行中にシーソーのような上下動が繰り返されるなら、乗っている人は軽い車酔い程度では済まされないでしょう。
チェン氏はこの課題について、「車輪に対して車体を前後させることで重心をコントロールし、解決できる」と述べています。
コンセプトムービーでは、その動きが表現されていますね。
また段差があっても、車輪だけを上下させる(車体の高さを変えない)ことで、乗り心地を良くしているようです。
そしてチェン氏によると、従来の4輪のクルマから2輪に変更することで、いくつかのメリットも得られるとのこと。
まず車輪が少なくなった(接地点の減少)おかげで走行中の摩擦が少なくなり、エネルギー効率が高まります。
これによって、より少ない電力で長距離を走ることができます。
また動画でも示されているように、その場で方向転換できます。
多くの人が苦手としている縦列駐車も簡単になるでしょう。
ちなみに動画内には、シェーンの前部と後部がまるで貝のように開き、5人が乗車している映像があります。
乗車の仕方もこれまでの自動車とは大きく異なっているのです。
まさにシェーンは、「自動車の新しいかたち」を提示していると言えます。
現段階では、シェーンの細かな機能や構造は説明されていません。
チェン氏が新しいアイデアを実現させるには、これから多くの研究開発とテストが必要になってくるでしょう。
彼はこのコンセプトの実現を支援してくれるパートナーを探しており、既に数社と交渉中のようです。
未来のクルマがいつ、どのような形で登場するのか、楽しみに待ちたいものです。
参考文献
Hoverboard Inventor Turns Heads With Two-Wheeled Car
electric car in hoverboard shape comes with two big wheels & doors that open like clamshell
A Revolutionary Two-Wheeled Electric Car Invention