コロナ禍で一気に広まったリモートワークをきっかけに、会議もリモートで行うケースが増えました。

しかし多くの人は、「ビデオ会議は疲れやすい」という印象を持っているようです。

実際、同様の現象を意味する「ビデオ会議疲労」「リモート会議疲労」「Zoom疲れ」「バーチャル会議疲労」といったワードが話題に上ることが増えました。

このような世の中の意見についてこれまでの研究は、リモート会議がリアルな対面会議に比べてストレス(精神的負荷)が強いことが原因だという考えを示してきました。

ところが最近、フィンランドのアールト大学(Aalto University)に所属するニーナ・ヌルミ氏ら研究チームは、「リモート会議が普段より疲れる原因は、緊張感(もしくは精神的負荷)が少なすぎためだ」というこれまでと逆の原因を報告しています。

私たちがリモート会議で疲れてしまうのは、集中できていないからなのかもしれません。

研究の詳細は、2023年8月9日付の科学誌『Journal of Healthy Health Psychology』に掲載されました。

リモート会議で疲れる「本当の理由」を調べる

それほど集中力を必要としない単調な作業を続けていると、時間が過ぎるのが遅く感じることがあるはずです。

「やることが何もない日の方が、なぜか忙しい日よりも疲れてしまった」という経験を持つ人も多いかもしれません。

ヌルミ氏ら研究チームの分析によると、私たちがリモート会議で感じている疲れは、もしかしたらこの種の疲れだった可能性があります。

リモート会議がすごく疲れる理由とは
Credit:Canva

今回、研究チームは、「リモート会議」とリアルで行う従来の「対面会議」がそれぞれの参加者に与える影響を調査しました。

調査に参加したのは、44人の会社の従業員たちであり、約400回の会議を通じて、様々な種類の疲労と関連性が分析されました。

彼らはリモート会議と対面会議に参加し、会議中の活動や心拍数などが記録されました。

その中では、強い負荷がかかることから来る疲労だけでなく、負荷が少なすぎることから来る疲労や眠気なども調べられています。

また参加者たちには、会議終了後に認知タスクを行ってもらい、会議がどの程度認知機能に影響を与えているか調査されました。

加えて、参加者が普段、仕事に対して熱心に取り組んでいるかどうかもアンケートがとられました。