我が国では子供の遊び相手程度にしか思われていないザリガニですが、海外では秋になるとザリガニを調理して「パーティー」を開催するところがあります。
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世界では秋に「ザリガニを食べる」
全国各地の水辺に生息し、子供の遊び相手としてなじまれているザリガニ。排水の流れるドブにも生息できることから身近な環境にいる一方で、食材としては認識されていません。
しかし世界的に見れば、ザリガニは人気食材のひとつ。特に中国、アメリカ、そしてスウェーデンでは愛されており、消費量も多いです。
アメリカやスウェーデンでは、秋になると「ザリガニパーティー」が実施されています。この時期のザリガニは身の入りがよく、ミソ(中腸腺)も濃厚でとても美味しいからです。アメリカではスパイスを効かせて調理されますが、スウェーデンでは塩とディルだけでさっぱりとした味に仕上げられます。
日本にいる「美味しいザリガニ」
ヨーロッパで食べられているザリガニはヨーロッパザリガニという種類で日本には生息していませんが、アメリカや中国で食べられているザリガニは日本に生息しているものと同じアメリカザリガニです。
したがってもちろん、日本にいるザリガニも美味しく食べることが可能です。このアメリカザリガニ以外にも、北海道や本州の一部に生息するウチダザリガニ(シグナルザリガニ)も美味しく食べられます。こちらは阿寒湖で養殖されており、レイクロブスターの名前で市販もされています。
なお、日本における唯一の在来ザリガニであるニホンザリガニは絶滅危惧種のため食用にはできません。またアメリカザリガニは許可のない生体の頒布や販売が、ウチダザリガニは生体の移送、頒布、販売、飼育が禁止されていますので、自分で捕獲して食べる際は注意が必要です。
簡単調理で超美味しい
アメリカザリガニは泥の中に生息しているため捕獲時には泥まみれになっていることが多く、一般的には泥抜きのために清水の中で数日飼育したのちに食用にされます。ただしこの時に共食いをしてしまうことが多いので、ネットに入れて体の半分程度が漬かるほどの水の中に入れておくとよいでしょう。
泥は体内にはあまり入らず体表に付着しているだけなので、ブラシなどできれいに擦り洗いをすれば泥抜き飼育を行う必要はありません。ただしその際は背ワタを取る必要があります。中心の尾羽をちぎりながら引っ張れば背ワタはきれいに抜けます。
シンプルな味付けが好きなら北欧風にディルだけで、刺激的な味わいが好きならアメリカ風に唐辛子、ニンニクなどとともに塩ゆでにすると美味しく食べられます。中国では唐辛子と酒で炒め煮にした「麻辣小龍蝦」という調理が人気です。お好みの調理法で食べてみてください。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>