茨城県で、人気の釣魚であるニジマスの釣り規制が解除されることになりました。いったいなぜでしょうか。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
茨城で70年ぶりにニジマス釣り全面解禁
那珂川や久慈川などの大河川を抱え、川釣りが人気となっている茨城県。ここで来年1月より、河川などでの「ニジマス釣り」が全面解禁されることが決定しました。
これまでもニジマス釣り自体は可能だったのですが、15cm以下の幼魚や卵の採捕は禁止されていました。しかしルール改正後はこれらを含め、すべてのサイズ、ステージにおけるニジマスの採捕が許されることになります。
また、10~3月の期間はニジマスの繁殖・産卵期に当たるため禁漁期として採捕が禁止されていましたが、この指定も解除されることになりました。
全面解禁は約70年ぶりとのことです。
規制があったわけ
ニジマスは北アメリカ原産の魚で、日本には明治時代に移入されました。食糧事情が悪かった時代に貴重な食用魚として導入され、現在でも各地で盛んに養殖されています。
茨城県では1951年に、ニジマスに関する上記の規制が導入されました。これはニジマスが重要食用魚として考えられていたからで、資源保護のための規制だったのです。
しかし現在、ニジマスは全国的に保護されるものではなくなりつつあり、その傾向を踏まえて茨城県でも規制が解除されるようになったわけです。
ニジマスは「有害外来種」
しかしなぜ、急に保護規制が外されたのでしょうか。それはニジマスが「有害な外来種である」という認識が広がりつつあるからです。
肉食魚であるニジマスは成長が早く、食味もよいため食用魚としては有望ですが、自然環境下ではヤマメなどの在来種を盛んに捕食することから外来種問題を引き起こしています。そのため2015年に、産業上は重要ながらも生態系に被害を与えないよう管理する必要がある「産業管理外来種」に指定されました。
我が国では東京都や北海道など各地でいまだにニジマスの放流が行われており、ニジマスという和名がなじまれていることから外来種として認識していない人も多いと思われます。しかし、すでに各地で生態系への被害をもたらしている存在であり、今後は茨城県以外でも規制が進められていくと思われます。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>