その結果としてトランプ政権は中国への厳しい対決姿勢のなかで日本との同盟強化を強調し、尖閣諸島の防衛誓約を明示した。トランプ大統領は安倍氏が悲願としてきた北朝鮮による日本人拉致事件の解決へも積極的に協力した。
トランプ大統領は国連総会での演説で横田めぐみさんを「日本の13歳の優しい少女」と呼び、日本人拉致の悲劇を全世界に向けて語り、事件の解決を訴えました。金正恩朝鮮労働党総書記に直接、拉致された日本人の即時解放をも求めたのだ。その間、トランプ大統領は拉致被害者の日本人家族とも何度も面会していた。安倍首相の意向をくんでの言動だった。
こんな経緯を知る人間には、いまもなおトランプ氏の脇に立つ安倍晋三氏の姿が浮かんできてしまうのである。
しかしアメリカでの安倍晋三氏に対する反応はかつてはかなりの批判や非難があった。だが安倍氏はそれを乗り越えて、米側の超党派の賞賛を獲得するようになったのだ。私はその複雑な経緯をこの書『アメリカはなぜ安倍晋三を賞賛したのか』で詳細に報告した。
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古森 義久(Komori Yoshihisa) 1963年、慶應義塾大学卒業後、毎日新聞入社。1972年から南ベトナムのサイゴン特派員。1975年、サイゴン支局長。1976年、ワシントン特派員。1987年、毎日新聞を退社し、産経新聞に入社。ロンドン支局長、ワシントン支局長、中国総局長、ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員などを歴任。現在、JFSS顧問。産経新聞ワシントン駐在客員特派員。麗澤大学特別教授。著書に『新型コロナウイルスが世界を滅ぼす』『米中激突と日本の針路』ほか多数。
編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2023年11月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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