大人のホビーとして根強い人気を誇るアマチュア無線だが、近年は有資格者の監督があれば無資格者でも運用できるようになり、高校や大学の無線部が復活するなど新たな動きも見られるという。

KENWOODブランドから、初心者でも使いやすいハンディタイプ・アマチュア無線機の新モデルとして、144/430MHzデュアルバンダー「TH-D75」が2024年1月下旬に発売される。

D-STAR対応の新モデル「TH-D75」

無線機本体・アンテナ・バッテリー一体型で、手軽にどこにでも持ち運べるのが特徴のハンディタイプ・アマチュア無線機。

新モデル「TH-D75」は、2016年発売の先行モデル「TH-D74」を進化させ、機能の充実とさらなる実用性を追求。新たにD-STAR方式の2波同時受信、およびD-STARリフレクターへの手軽なアクセスを可能にするリフレクター・ターミナルモードに対応した。

「D-STAR」とはDigital Smart Technologies for Amateur Radioの略で、日本アマチュア無線連盟(JARL)が推進するデジタル通信方式だ。本製品ではAバンドとBバンドでD-STARの2波同時運用が可能。

新たに対応したリフレクター・ターミナルモードでは、より手軽にD-STARリフレクター経由の交信が可能となる。

MMDVMコマンドに対応し、「BlueDV」のようなサードパーティー製アプリをインストールしたWindows PCやAndroid端末にBluetoothやUSBケーブルで接続すれば、そのままD-STARリフレクターにアクセスが可能。世界中のアマチュア局と交信できる。

さらに、リフレクターにアクセスしながら同時に近くのレピーターを受信するようなことも可能だ。

ほかにもボイスガイダンスの強化、スタンドアローンデジピーター、ワイドバンド・マルチモード受信機能などが追加された。

実用面ではBluetoothやmicroSD/SDHCメモリーカードへの対応に加えて、新たにUSB Type-C端子も搭載し、使い勝手が強化された。

双方向でリアルタイムなデータ通信を実現する「APRS」に対応し、パネルキーでの文字入力、および定型文からの選択による送信が可能となっている。

また、本体内蔵のGPSによる自局のリアルタイム情報に加え、あらかじめ設定した自局の情報と相手局の距離・方角・進行方向・移動速度をひと目で表示できる相対表示コンパスに対応。

移動局、基地局、気象局、オブジェクトといったステーションを最大100局まで保持でき、受信するステーション種別の制限、並び替えも可能。また、ローカル情報をオブジェクトとして発信できる。

Bバンドでは0.1~524MHzのワイドバンド・マルチモード受信に対応し、LSB/USB/CW/AMモードでの受信も可能となっている。

本機単体でも「APRS」の中継局として運用できるスタンドアローンデジピーター機能に対応し、野外で臨時の中継局を構成できる。

アウトドアでも視認性に優れた1.74型TFT半透過型カラー液晶を搭載し、キーパッド部に操作性の高いフラットな薄型キートップを採用するなど使い勝手にもこだわる。IP55相当の防塵・防水性能を備え、過酷な環境でも運用が可能。

KENWOODが培ってきた無線技術を惜しみなく投入した本製品。初心者からベテランまで幅広いユーザーの無線運用ニーズに応える新モデルだ。

(SAYA)