大宮市出身の映像作家・坂根大悟氏の和紙障子プロジェクションマッピング展「大宮曼荼羅」が、11月23日(木)から11月26日(日)まで開催される。

同展のテーマは「過去と現在という相反の共存空間にみるさいたま市」。プロジェクターの光が裏側に透過しにくい性質を持った和紙障子を使用し、障子の表と裏に異なる映像を投影する。地名と伝説をアートとして表現した、新しい映像体験だ。

大宮市出身の映像作家が「大宮曼荼羅」を開催

同展は、両面投影可能な和紙障子プロジェクションマッピング。作家の坂根大悟氏が長い間さいたま市内で生活する中で撮りためた写真や動画をコラージュ化し、映像投影する。

表には、さいたま市内の120の地名と伝説をイラスト映像化し、障子の枠一つ一つにそれぞれ異なる映像を投影。裏には、さいたま市の現在の風景を投影する。

過去と現在という相反する要素を同一の障子枠内で表現することにより、特徴がないと言われがちなさいたま市のアイデンティティを、相反する時間軸から捉え直す試みだという。

鑑賞者はその表現や土地の核の部分に触れることを通じて、自身の視野が拡がるような新しい体験を得ることができるだろう。

両面投影可能な和紙障子装置

和紙の中では厚口で知られる2枚の鳥の子和紙の間に、越中染紙の黒を挟み込み、映像光を後ろへ通さない両面投影可能な映像装置とした。通常は片面だけのプロジェクションマッピングが多い中で、両面を使った障子のプロジェクションマッピングは非常に珍しい。

さいたま市内120の地名や伝説を映像化

さらに、「埼玉県地名誌 名義の研究」や「日本歴史地名大系11 埼玉県の地名」、合併前の市史を元に、120の地名や伝説に基づいた画像を画像生成AIで3000枚以上作成し、そこから120枚を抽出。それらを動画化し、1マスごとに実際の地名の位置に基づいてマッピングする。今では失われてしまった古い土地の様子も地名から垣間見ることができるという。

また、同展のタイトルにある「曼荼羅」という言葉は密教の世界認識を示した図のことを指し、「大宮曼荼羅」と名付けることで、その地域を表現した映像作品であることを示唆しつつも、多種多様なものが共存していることを表すタイトルとした。

映像作家・アーティスト 坂根大悟氏プロフィール

1995年大宮市出身。その土地の持つ歴史や都市を題材にしながら、相反するものが共存した「陰陽太極図的メディア空間」を探求しつつ、立体・映像・中間媒介物を組み合わせた作品の制作を行う。2023年文化庁メディアクリエイター育成支援事業に選出。

「相反」するものを追求する、坂根氏による陰陽太極図的メディア空間を体験しにいこう。

和紙障子プロジェクションマッピング「大宮曼荼羅」
期間:11月23日(木)〜11月26日(日)
会場:盆栽四季の家
所在地:埼玉県さいたま市北区盆栽町267-1
開館時間:10:00〜18:00
休館日:なし
入場料:300円(さいたま国際芸術祭メイン会場チケットは利用不可)

(hachi)