今回のOUTLINEニュースは今週と来週の2回にわたって、アウトラインが採用するムーヴメントについて触れてみたい。
今年の8月に「マイクロブランド攻略BOOK」と題した雑誌を刊行させていただいた。マイクロブランドとは年産1万本以下という小規模時計メーカーのことを指しており、これが世界中を見渡すと1冊の雑誌が作れるほどに数多く存在する。
しかも、それらのマイクロブランドは、どちらかというと時計愛好家が趣味で立ち上げたブランドも多く、そのクオリティの高さから6〜7年ぐらい前から世界的に注目されるようになった。そしてアウトライン然り、4〜5年前からは日本でも増えているのだ。
この背景にあるのは、製造技術の進歩により品質の良いものを比較的に安価で製造できるようになったことと、2010年頃から注目度がグッと高まったクラウドファンディングという新たな資金調達方の存在も大きかったと言える。
そして2020年に発生したコロナ禍の行動制限により越境ECが飛躍的に伸びたことで、グローバルでの販売がしやすくなったこともかなり追い風になったことはいうまでもない。
そして忘れてならない点がもうひとつ、それは腕時計の心臓部、ムーヴメント(駆動装置)の存在である。これら世界中のマイクロブランドの多くが、日本メーカー製の汎用ムーヴメントを採用しているのだ。
つまり、信頼性が高いうえにスイス製に比べるとかなり安価な日本製ムーヴメントが使えることで、機械式ムーヴメント搭載モデルでありながらも日本円で10万円未満の腕時計が作れるようになった。このことも相当大きかったに違いない。
なお、日本の時計メーカーで汎用ムーヴメントを外販しているのは、セイコーとシチズン傘下のミヨタの2社である。ちなみにセイコー製の汎用ムーヴメントについてはグループ傘下で香港にあるタイムモジュール株式会社(2023年11月1日に株式会社セイコー・マニュファクチャリングから事業譲渡)がTMI名で世界に販売している。
さて、次回はミヨタとセイコー製の汎用ムーヴメントについて具体的に解説してみたいと思う。
■アウトライン・コンプレダイバー1960
ケースメーカーのEPSA社が55年に特許を取得した防水のコンプレッサーケースは、ケースにかかる水圧を利用して、水深が増すごとに密閉度を高めるというものだった。EPSA社はこれをスイスの各時計メーカーに供給。それによって多くのメーカーでもダイバーズウオッチの製造が可能になったというわけである。
そして、当時のコンプレッサーケースを採用したダイバーズウオッチにはある共通点があった。それは経過時間を確認するための回転式スケールが外側ではなく風防ガラスの内側に設けられているという点だ。
アウトラインの“コンプレダイバー1960”は、そんな当時のコンプレッサーダイバーの雰囲気を再現。風防ガラス内に装備した回転式スケールは当時と同じく2時位置のボタンを回して操作する。自動巻きムーヴメントはシチズン傘下であるミヨタの最上位機、Cal.9015を搭載。シースルーバックからはテンプの動きも楽しめる。しかも、このハビート機ながら価格は4万9500円と5万円を切る。
Ref.YK18001-1(ブラック)、Ref.YK18001-2(ネイビー)。316Lステンレススチール。ケース径40mm、ケース厚12.7mm。10気圧防水。自動巻き(日本製Cal.MIYOTA9015/秒針停止機能搭載)。逆回転防止機能付き回転インナーベゼル、デイト表示、シースルーバック。49,500円(日本製)
提供元・Watch LIFE NEWS
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