維新の音喜多政調会長と国民民主の玉木代表が社会保険料について討論した。ほとんどはこれまでさんざん議論された問題で、玉木氏の話は国会答弁みたいだったが、国会でタブーになっていた社会保険料に切り込んだのはいいことだ。
チャンネルくららで社会保障制度改革について維新の音喜多さんと議論させていただきました。「玉木さん、奥歯にものがはさまっているような言い方だ」との書き込みもいただきましたが、それは、数日前にX(旧Twitter)で炎上したからではなく、社会保障制度改革の難しさを知ってるがゆえに、いつもの「… pic.twitter.com/glI3nWjNfe
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) November 4, 2023
気になったのは、玉木氏の「社会保険料を下げるのは無理だ」という話である。日本は超高齢化が進むのだから、社会保険料が増えることはあっても減らすことはできない。できるのは増加率を賃金上昇率以下に抑えることだけだ――という先入観には疑問がある。
日本の社会保険料は国民皆保険というフィクションを維持するために、サラリーマンが自営業者の保険の赤字を埋め、その赤字を税金で埋めてきた。その最たるものが後期高齢者医療制度だが、これはあまりにも複雑怪奇なので、ここでは年金制度を考えよう。
「基礎年金」はサラリーマンの国民年金への贈与日本の年金制度は2階建てになっており、1階部分の国民年金(基礎年金)が国民皆保険で、全国民が強制加入することになっているが、実は基礎年金という年金制度は存在しない。
これはサラリーマンの加入する厚生年金の1階部分をそう呼んでいるだけで、「基礎年金保険料」は誰も払っていないのだ。ここにトリックがある。次の図のように基礎年金の受給額は24.5兆円だが、このうち国民年金の加入者(1号被保険者)は1.3兆円しか払っていない。
これを埋めるのが、厚生年金からの基礎年金拠出金である。これは事業主負担と合わせて年20万円だが、これでは足りないので半分を国庫負担(税)で埋めている。これは所得を100%捕捉されるサラリーマンから、未納の多い自営業者や高齢者への贈与なのだ。
サラリーマンの搾取をやめる「最低保障年金」この拠出金をやめて厚生年金と国民年金を独立させ、1階部分はすべて税でまかなうのが最低保障年金である(2階部分は今と同じ報酬比例)。これは民主党政権でも議論され、河野太郎氏が2021年の自民党総裁選挙で提案した。
いろいろな最低保障年金の案(土居丈朗氏)