ニューヨークの国連総会で27日、イスラエルとイスラム過激テロ組織「ハマス」の戦闘が続くパレスチナ自治区ガザを巡る緊急特別会合が開かれ、ヨルダンが提出した「敵対的な行為の停止につながる人道的休戦」を求める決議案が賛成多数で採決された。

国連総会特別会合でパレスチナ自治区ガザを巡る決議案が採択される(2023年10月27日、国連総会公式サイトから)
同決議案は国連加盟国(193カ国、投票国179カ国)のうち、賛成120票、棄権45票、反対14票で必要な3分の3の多数票を獲得した。国連総会決議は国連安保理決議のような国際法上の法的な拘束力はないが、国連加盟国の意思表示として政治的シグナルはある。
アラブ諸国がまとめた今回の決議案では、イスラエルとパレスチナの民間人に対するあらゆる暴力を非難し、「不法拘束」されているすべての民間人の即時無条件解放を求め、ガザ地区への人道支援への無制限のアクセスを要求している。また、「敵対行為の停止」につながる「即時恒久的かつ持続可能な人道的停戦」を求めている。
同決議が採択されると、イスラエルのギラッド・エルダン国連大使は、「採択された文書ではイスラエルをテロ襲撃したハマスの名前は言及されず、ただ、10月7日以後のイスラエル軍の報復攻撃の激化に対する懸念だけが表明されている」として、「国連にとって今日は暗い日だ。不名誉な日として歴史に記録されるだろう」と述べ、国連の正当性を糾弾した。
決議案では加盟国の意見は分かれていた。例えば、エジプトとカタールは決議の採択を主張し、米国は明確に反対していた。同時に、ガザ地区でのイスラエル軍の行動に対する西側諸国の態度にも違いが表面化した。フランス、ベルギーなどは決議案に賛成票を投じたが、ドイツ、イタリア、英国、そして日本は棄権した。
ちなみに、同決議案に反対票を投じた国は、イスラエル、米国、グアテマラ、ハンガリー、フィジー、ナウル、マーシャル諸島、ミクロネシア、パプアニューギニア、パラグアイ、トンガ、オーストリア、クロアチア、チェコの計14カ国に過ぎない。
オーストリアのネハンマー首相は28日、同決議案に反対した理由として、「ハマスのテロ攻撃を名指しで非難していないこと、イスラエルの自衛権を認知していない。そのような決議案を賛成できない」というコメントを公表している。
問題は欧州連合(EU)27カ国の決議案への投票状況だ。共通の外交を標榜してきたEUは国連総会決議ではバラバラだった。フランス、ポルトガル、スパイン、スロバニア、マルタ、アイルランドなどは賛成票を投じ、ドイツやイタリアは棄権に回り、オーストリア、ハンガリー、クロアチア、チェコは賛成票を投じたのだ。