――「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が歴史的UFO事件を深堀り。アーノルド事件からCBA事件までを振り返る。

元祖UFOコンタクティーは誰? 徳川家康が遭遇した「肉人」、19世紀に茨城県に漂着した土星型の物体
(画像=画像は「Getty Images」より,『TOCANA』より 引用)

 アダムスキーのコンタクト・ストーリーが真実か偽りかに関わりなく、彼の体験談によって宇宙人と友好的な接触をするというコンタクトの概念、そして宇宙人とコンタクトした人物としてのコンタクティーという存在が確立された。すると、彼と似たような体験をしたという人物が続々と名乗りを挙げた。その背景には、アダムスキーの名が世界的に広まり、印税や講演などでかなりの収入を得たという事情もあるかもしれない。

 アダムスキーがデズモンド・レスリーとの共著で著した『空飛ぶ円盤実見記』がアメリカで出版された直後の1953年9月、自分も宇宙人とコンタクトしたと名乗り出たのが、トルーマン・ベスラム(1898~1969)である。しかも彼は、自分がクラリオンという惑星から来たオーラ・レインズという宇宙人女性と出会ったのは、アダムスキーより4カ月ほど早い1952年7月27日だと主張した。

 翌1954年には、ダニエル・フライ(1908~1992)が『私は円盤に乗った』を著し、1950年7月4日にニューメキシコ州ホワイトサンズにある軍のロケット発射試験場近くの平原を散歩中に、卵型UFOを目撃、中から聞こえるアランと名乗る人物の声に導かれてUFOに乗り込んだ経験を語った。

 そして1959年になると、ハワード・メンジャー(1922~2009)が『大気圏外から諸君に』を著し、自分は1932年の時点で既に宇宙人にコンタクトしていたと主張した。

 1950年代のみに限っても、ジョージ・キング(1919~1997)、ジョージ・ヴァン・タッセル(1910~1978)、セドリック・アリンガム(1922~?)、ラインホルト・シュミット(1897~1970)など数え切れないほどのコンタクティーが名乗りを挙げている。

 19世紀末、イギリスで心霊主義が台頭したとき職業としての霊媒が成立したのと同様、1950年代には、職業としてのコンタクティーというものが発生したと言えるかもしれない。しかしそのほとんどは、今では忘れ去られている。

 もちろん宇宙人とのコンタクトについては、コンタクティーたちの証言以外に裏付ける物証は今のところ見あたらないのだが、仮にこうした発言を信じるとした場合、世界最初のコンタクティーは一体誰になるのだろう。

 上記のとおり、最初にコンタクトを公表したのはアダムスキーだが、それ以後に名乗り出たコンタクティーたちの中には、自分のコンタクトはアダムスキーより先だったと主張している者が何人かいる。1960年代になって名乗りを挙げたアルバート・クーは1920年代、まだUFOという現象が認知されていない時代に、円盤形の航空機に乗った奇妙な人物と遭遇したと述べている。では、クーこそ史上最初のコンタクティーと判断してよいのだろうか。

 じつは、この問題はそれほど簡単ではない。

 というのは、宇宙人たちは太古の昔に地球を訪れて地球に文明をもたらし、古代人から神として崇拝されたという古代宇宙飛行士説によれば、『旧約聖書』の神は宇宙人ということになる。そうなるとホレブ山で神の姿を見たモーセや、ケバル河畔で宇宙船を見たエゼキエルなども古代のコンタクティーということになってしまう。

 さらに日本でも、江戸後期に書かれた随筆集『一宵話』には慶長14年(1609年)、徳川家康が駿府城で、手はありながら指はなく、手で上を指して立っていた奇妙な存在「肉人」に遭遇したという記述があるが、一部ではこの「肉人」は宇宙人だったのではないかといわれている。そうとすれば、徳川家康もコンタクティーだったということになる。

 また滝沢馬琴の『兎園小説』によれば享和3年(1803年)に常陸国にある小笠原越中守の領地「はらやどりという浜」の沖に、現在のUFOにそっくりな土星型の物体「虚舟」が流れ着いたという記述がある。この話は随筆集『梅の塵』や何種類かのかわら版にも記されているが、これがUFOであり、中にいた「虚舟の蛮女」が宇宙人だとすれば、彼女と会った漁民たちもコンタクティーということになる。

 さらに事態を複雑にしているのが、数々のコンタクティーたちが宇宙人とコンタクトする手段は直に面談する方法だけではなく、テレパシーや自動書記、コックリさん、さらには体外離脱を用いたりなどと、さまざまな手段が用いられていることだ。

 体外離脱によるコンタクトを認めるとすると、アダムスキーよりずっと前に、太陽系の他の星の住民と会話したとはっきり述べている人物も存在する。その最初の人物は、18世紀のスウェーデンの科学者、エマニュエル・スウェーデンボルグではないかと思われる。

文=羽仁礼

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提供元・TOCANA

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