BRANCH HOROLOGY(ブランチ・オロロジー)は、カナダ発、日本未上陸のマイクロウオッチブランドである。創設者は、若い頃から時計などの機械的なものに魅了されており、10代の頃から蚤の市で古い時計を手に入れていたほどの時計好きだ。彼は手に入れた古い時計を分解、修復していじることに10代の時間を費やしていたそうで、各パーツの細部まで時計の構造を探求することに喜びを見出していたようだ。 経験を積んでいくことで、後に手に入れた時計を修復して再販するほどの能力を身につけることになる。

長年にわたってアンティークウオッチの購入と修復作業を続けていくなかで、アンティークウオッチを取り巻く状況に変化が生じていった。アンティークウオッチの人気と価格が爆発的に上昇していくのを目の当たりにし、いつかは手に入れたいと思っていた時計が、どんどん手の届かないものになっていったのだ。不幸中の幸と言うべきなのか、この苦い経験が、ブランチ・ホロロジーを創設するきっかけとなる。美しい時計を楽しむために自分で作るしかない、と思い至った彼は、ブランチ・ホロロジーを創設することになるのだ。現在は、ファーストモデルのセクターだけを販売しているが、将来は、より多くの自社製時計部品を生産し、様々なデザインや複雑機構のヴィンテージ風時計のラインナップを充実させたいそうだ。
ザ セクター

ブランチ・オロロジーのデビューモデルである、“ザ セクター”は1930年代から50年代のミリタリーウォッチへのオマージュとして、オリジナルデザインで製作されたモデルだ。 ムーヴメントはセリタのCal. SW210-1を採用しているが、ムーヴメント以外のすべての部品はこの時計のために特別に設計、製造が行われ、シルバーのセクターダイアル、アクリルガラス製のドーム風防、フレイムブルーのソード針が、洗練された 37mm ケースに収められている。カナダでひとつひとつ手作業で組み立てられたセクターの販売価格は11万7000円だ。


セクターの最大の特徴と言えるのが、モデル名が象徴している文字盤だろう。アールデコを代表する伝統的なセクターダイアルのデザインを採用しており、円と放射状のラインをバランス良く組み合わせた文字盤はシルバースノーホワイトの中央部分、背景にブラッシュ仕上げを施したマットシルバーのチャプターリング、二つのトーンに仕上げられている。12、3、6、9のアラビアインデックスと太いブラックのラインはインクを立体的に盛ったことで、シンプルでありながら存在感を感じさせる仕上がりとなっている。文字盤を4分割するクロスラインもアクセントを加えている。

懐中時計の時代のクラシックなフォルムを想起させる濃厚なダークブルーのソード針も必見だ。スチールの精密な打ち抜き、成形、絞り加工によって作られた針は、ポリッシュ仕上げを施した後、熱処理により酸化皮膜加工され、伝統的なブルースチール針ならではの深い色合いを備える。ケースサイズ37mm、厚さ10.5mmの316Lステンレススチール製。 ポリッシュ仕上げのベゼルとブラッシュ仕上げのケースのコントラストが特徴だ。短めのラグにラチェット式リューズ(無刻印)を備えている。こんもりと膨らんだドーム風防はアクリル製もアンティークウオッチのテイストを際立たせている。


ムーヴメントはセリタの手巻きキャリバー、SW210-1が搭載されている。 ムーヴメントをケースに収めるためにソリッドメタルのムーブメントリングが使用されており、見えない部分にも品質を追求するあたりに、時計作りに対するこだわりが感じられる。ベルトはシカゴにある、べブレニスト社がハンドメイドで製作しており、グレーのカーフスキンまたはブラウンのスエードストラップから選択可能。ヴィンテージデザインの要素を取り入れた再利用可能な化粧箱に入れて出荷される。
》BRANCH HOROLOGY(ブランチ・オロロジー)
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
提供元・Watch LIFE NEWS
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