マンション購入時、物件価格に目がいくのは当然のことだが、それ以外にもこんなにお金が必要なの?と感じる人も多いのではないだろうか。「SUUMO」と「ウィメンズパーク」が以前共同調査した「住まい購入のお金事情」調査によると、自宅の購入で当初予算を超えてしまった人は全体の5割を超えるという。原因はさまざまだが、「諸費用を計算に入れてなかった」のもその一つだ。諸費用とは手数料や税金のことを指す。住宅購入で物件価格ばかりにとらわれるのは危険だ。諸費用とはどの程度かかるのか、今回はマンション購入に絞って考えてみる。

マンション購入にかかる諸費用

マンションを購入する際に発生する諸費用は以下の4種類だ。

  • 住宅ローン関係費用
  • 登記関係費用
  • 税金関係
  • その他費用(管理費・修繕積立金等)

    住宅ローン関係費は主に金融機関に支払う手数料や保証料および保険料である。借入額が大きくなるほどに諸費用も高額になる。登記関係費用は不動産取得とローン契約の際に支払う税金と司法書士への報酬だ。税金関係は不動産取得税や固定資産税、または消費税である。その他には管理会社に支払う管理費・修繕費などがある。

    これらの費用は物件本体の価格や住宅ローン金利または頭金とは別に発生する。それぞれは数万円程度なので軽視されがちだが、合計すると100万円はゆうに超える。あらかじめ予算に加えておきたい。

諸費用の内訳

諸費用の具体的な内容はこうだ。これらすべてがかかるとは限らないし、これら以外にも発生する可能性もある。

<契約時>

印紙税
不動産会社と売買契約する際に必要な税金。「売買契約書」に貼付する。契約金額が1,000万円超5,000万円以下なら1万円。

<引渡時>

印紙税
住宅ローン申込時の「金銭消費貸借契約書」に貼付。契約金額が1,000万円超5,000万円以下なら2万円。

登記費用・登録免許税
不動産を登記する際にかかる税金と司法書士報酬のこと。新築マンション購入時における登録免許税は「所有権保存登記」と「抵当権設定登記」の2種類。登記手続きは司法書士の資格がなくてもできるが、煩雑なので専門家に依頼するのが一般的。

住宅ローン抵当権設定登記
住宅ローンを利用する場合は、抵当権の設定のための登録免許税と司法書士報酬が必要。登録免許税は「借りたお金の0.4%」、司法書士手数料は3万円~10万円が相場。

住宅ローン事務手数料
 住宅ローンを利用する場合の金融機関に支払う事務手数料。

住宅ローン保証料
連帯保証人である保証会社に支払う保証料。諸費用の中でも高額。支払い方法によっては返金される場合もある。

団体信用生命保険料
住宅ローンの返済中に、死亡・高度障害になった場合に備えて加入する保険の保険料。住宅ローン金利に含まれている場合は不要。フラット35の場合1,000万円あたり年間3万6,000円。

火災保険料
住宅ローン借入期間中に必要。保険料は建物の床面積・築年数・構造・借入期間・補償内容による。

仲介手数料
不動産会社を仲介して物件を購入した際に支払う手数料。仲介手数料は売買価格によって上限が決まっている。通常は中古物件にかかるが、新築でも媒介業者がいる場合は必要。

固定資産税および都市計画税
土地や家屋といった固定資産に課税される市町村による地方税。毎年1月1日時点において固定資産を保有している者に課される。購入した年は引き渡し日から日割り計算される。同時に公園や道路など特定の目的のための税金である都市計画税も納める。

管理費・修繕積立金等
 管理費・修繕積立金は入居後に契約者の口座から毎月自動引落しとなるが、引き渡し後すぐには間に合わないため、2~3ヵ月分前払いで請求されることが多い。

<引渡後>

不動産取得税
不動産の取得に対して課される都道府県による地方税。固定資産税とは異なり、取得時に1回納めるだけで良い。取得後6ヵ月~1年半くらいの間に各都道府県から届く「納税通知書」を使用して金融機関で納付。

このように、売買契約書の印紙税と不動産取得税以外は、諸費用はマンション引渡時に発生する。ほとんどのケースで不動産会社にまとめて支払う。金融機関で組んだ住宅ローン関連費用を含め、不動産会社が取り次いでいるからだ。

マンション購入諸費用シミュレーション

諸費用の金額はケースバイケースだが、一つの目安として東京都内でファミリーマンション(70平方メートルで5,000万程度)を新築で購入し、4,000万円分の住宅ローンを組んだと想定した場合の概算を試算してみよう。

登記費用・登録免許税  約30万円
住宅ローン抵当権設定登記 約21万円
売買契約書 印紙代 約3万円
固定資産税 約10万円
住宅ローン事務手数料  約5.4万円
住宅ローン保証料 約60万円
火災保険料 約10万円
 管理費・修繕積立金等 約30万円
不動産取得税 約112.5万円

諸費用合計 約281.9万円(物件価格の約5.6%に該当)

新築マンションを想定しているので仲介手数料は考慮しない。それでも300万円近く必要になる。新築の場合は仲介手数料やリフォーム代がかからないことが多いが、「水道負担金」、「建築確認申請費用」を求められることもある。それ以外にも、消費税、引っ越し代、家具購入費も別途発生することを考えれば、ゆとりを持たせたローン計画が必要なのは言うまでもない。

予算は物件価格に3~10%上乗せ

マンション購入にあたっては①住宅価格・②住宅ローン金利・③頭金・④諸費用を予算に含める必要がある。そのうち③と④は最初に現金で必要な費用だ。頭金までは考えていても、諸費用を見落としている人が意外と多い。

諸費用の相場は、新築の場合で物件価格の3~7%、中古の場合では6~10%と言われている。新築5000万円なら350万円程度は見積もっておきたい。頭金を用意するので精一杯な状態でこれらの費用が発生すれば、計画の変更が余儀なくされるだろう。

諸費用を節約する方法

諸費用のうち、登記関係や税金関係の費用は動かしようがないので、住宅ローンに関する費用をいかに抑えるかが諸費用節約のカギとなる。それにはまず借入額をできるだけ圧縮し、返済期間を短くすることで保証料や設定登記費用を少なくすることができる。

金融機関選びも重要だ。比較の際は住宅ローン金利だけでなく保証料や事務手数料を視野に入れよう。最近ではネット銀行や地方銀行で保証料を0円に設定しているところもある。

火災保険の見直しで数万円の節約も可能だ。不動産会社のすすめる火災保険は補償内容が必要以上に手厚い場合があるので、余計な特約を外すなどして保険料を低くできないか見積もってみよう。

諸費用を甘く見ているとマンション購入自体が危ぶまれる可能性がある。事前によく情報収集して、無理のない予算を組むことが重要だ。

文・篠田わかな(フリーライター)

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