ディーラー業界に変化の兆しは感じられない
国内市場の変化や海外企業の進出など、ディーラー業界を取り巻く環境は決して明るいとはいいがたいが、ディーラー業界に変化の兆しはあるのだろうか。
「目に見えた大きな変化が起きているとは思っていません。それよりも下降気味の業績や、半導体不足などから起こる新車の生産性の悪化など、目の前の危機に注力せざるを得ない状況です。ディーラー業界は自動車メーカーとの関係性が強固であるため、ヤマダデンキのような思い切った戦略は取りづらいという面もあると思います」(同)
自動車とEVは別物として考えることが必要
今後、国内のEVシェア率が大きくなれば、ディーラー業界には大きな変化が起こるのだろうか。
「音楽の分野において、40年前くらいまではレコードやカセットテープで聴くのが定番でしたが、今では多くの人がスマホなどデジタル環境で聴くようになりました。かつてのアナログなメディアは、一部のコアなファンが懐かしみながら楽しむ趣味の世界へと変わっています。自動車の業界も、そうなっていく可能性は十分にあるでしょう。だとすると、ディーラー業界はこのままでは、一部のコアな自動車好きのための存在になりかねません。ただ、それでは今の収益を確保するのは難しいでしょう。
一方で、EVはエンジンで走らせる自動車に比べて、シンプルな構造で部品点数も少なく、製造しやすいといえます。そのため、EVのモーターやバッテリーなどプラットフォームづくりの環境さえ整えれば異業種からの参入も加速する可能性があります。充電設備や安全面などの課題がクリアされたら、EVのシェアはどんどん拡大していくでしょう。
既存のディーラーは、これまでの自動車販売の延長線にEV販売を考えるのではなく、まったくの別の産業として考える必要があります。今後、技術が進歩して自動運転が当たり前になれば、運転免許がなくてもEVに乗れる時代がくるかもしれません。免許を持たない人が消費者になりうるわけですから、根本的に考えを変えないといけないでしょうね」(同)
(文=LUIS FIELD、協力=桑野将二郎/自動車ライター)
提供元・Business Journal
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