睡眠障害がメンタルヘルスに及ぼす影響

起き上がれない女性
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これまで労働者とメンタルヘルスの関係として女性の交代勤務者がうつ病になりやすいという報告がありました。

そこで同氏らは交代勤務者の睡眠とメンタルヘルスについても調査を行いました。

しかし、結果は意外にも交代勤務の有無と関係なく、睡眠障害を抱えた人がうつ病や不安障害になる割合が高いことがわかったのです。

また、交代勤務者全体で比較するとうつ病や不安障害の発症率は交代勤務でない人と同等でしたが、交代勤務者のうち夕方・夜勤を行っている人だけに限ってみると、不安障害を患う人が増えていました。

夕方・夜勤を行っている人は同年代平均よりも睡眠障害を発症する割合が高く、それによって不安障害を患う人の割合も大きくなっているものと考えられます。

つまり、夜勤を含む不規則な働き方が睡眠障害を引き起こし、その睡眠障害がメンタルヘルスに影響を及ぼしているのです。

生産性とメンタルを守るために若者の睡眠障害へのケアを

十分な眠りは生産性UPにもつながるかも
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睡眠障害によって生産性が下がっている若者は5人に1人に及び、その生産性損失は毎年4週間、つまり約1カ月にあたります。

これは企業側にとっても無視できない大きな損失です。

今回の調査はオーストラリアのものですが、日本の睡眠時間は主要国の中でも最低レベルと言われていますので、睡眠による生産性損失はより大きなものでしょう。

また、これらの調査で睡眠障害と診断された若者たちの多くは病院にかかったことがなく、適切なケアを受けたことがなかったと言います。

もし、社内の健康診断などで睡眠障害が正しく発見され、治療をサポートできれば若者の生産性上昇はもちろんうつ病などによる離職も減らせるかもしれません。

何より、年間1カ月程度の生産性損失の分だけでも労働時間を短くできたなら、睡眠時間がしっかり確保でき、かえって生産性が上がる可能性も十分にあります。

労働時間の長さだけでなく、その時間をどれくらい有効に使えるかのパフォーマンスを重視した働き方が浸透するといいですね。

参考文献
Insomnia affects young worker productivity
元論文
Insomnia and workplace productivity loss among young working adults: a prospective observational study of clinical sleep disorders in a community cohort
Shift work, clinically significant sleep disorders and mental health in a representative, cross-sectional sample of young working adults