傑出した科学者や技術者としても認められたアブラアン-ルイ・ブレゲ。彼は1814年に王命によって経度委員会のメンバーに選ばれ、フランス海軍と運命をともにすることになる。この委員会の役割の一つは、海上での経度決定に関する天文学的な問題を解決することであった。その1年後、ルイ18世はブレゲに当時の最も栄誉ある称号のひとつに数えられる“王国海軍時計師”の称号を授与している。そして、その後もブレゲの銘が刻まれた精密時計とマリン・クロノメーター(船に搭載され天体航法による船の位置の測定に使用される精密時計)経度測定のシステムを装備した多くの偉大な海洋探検家たちの艦隊が船旅を続けていったのだ。
新たに発表された“マリーン”コレクションの新作は、こうした航海術と天文学の両方との強い結びつきに加え、時計師アブラアン-ルイ・ブレゲを象徴する機構のひとつである“トゥールビヨン”によって、ブランド創業者へオマージュを捧げたモデルと言える。
マリーン トゥールビヨン 5557
トゥールビヨンは、科学と時計学に傑出した時計師アブラアン-ルイ・ブレゲによって発明され、1801年6月26日特許を取得した機構だ。地球の引力は、時計の位置が変わるたびに時計の歩度に影響を与えるため、時計のムーヴメントにとって引力は敵である、という見解が彼の出発点であった。この問題を解決するため、アブラアン-ルイ・ブレゲは、脱進機をすべてキャリッジの中に組み込み、1分間で1回転させるというアイデアを思いつく。こうして誤差は定期的に繰り返されるため、互いに相殺されるようになりました。さらに、テン真の接点が常に変化することで、軸受の潤滑性が確実に向上したのだ。
それから220年以上経った現在でも、この時計製造の機構は、最も魅力的な時計学の作品の一つとして際立った存在感を放っている。ブレゲは“マリーン”コレクションにトゥールビヨンを加えることで、この発明にオマージュを捧げているというわけだ。
新作のRef.5577のサンバースト仕上げ文字盤は、ローズゴールドモデルではスレートグレーカラーが、プラチナモデルではネイビーブルーが採用されている。トゥールビヨンは5時位置に配置され、60秒で1回転するケージが目を引きつける。チャプターリングは、この機構を強調するためオフセンターに配され、アワーマーカーや先端に穴が開いたゴールドのブレゲ針には蓄光が施されている。
直径42.5 mmのケースには自動巻キャリバー581を搭載。厚さわずか3 mmの極薄ムーヴメントで、部品は330個。ペリフェラルローターを使うことで、この極薄のムーヴメントが実現している。振動数は4 Hzで、驚異的な80時間パワーリザーブを備え、キャリバーにはシリコン製のキャリッジとひげゼンマイを搭載している。シリコンは腐食や摩耗への耐性があり、磁場の影響を受けないさまざまな特性が備わっているのが特徴だ。この新作のムーヴメントはサファイアガラスをセットしたケースバックから眺めることができる。香箱には羅針図が描かれ、プラチナ製ペリフェラルローターには、船の舵からインスピレーションを得たデザインが採用され、船の甲板を思わせる畝模様のモチーフなど、典型的な“マリーン”コレクションの装飾もあしらわれている。
【問い合わせ先】
ブレゲ ブティック銀座
TEL.03-6254-7211
文◎Watch LIFE NEWS編集部
提供元・Watch LIFE NEWS
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