会議のテーマとなる政策に関係の深い様々な立場の人と議論しながら一つの結論を導くことで、意見集約の場とすることです。ある政策について、賛成派と反対派に分かれている場合などは特に慎重な意見集約が求められます。

政府会議という場で色々な立場の人が議論をしながら一つの結論に至り、法律案などの政策案(政府としての案)が出来上がると、その後、国会での議論がありますし、メディアなども色々な見解を出します。

そうした中で最終的に政策は決まっていきますが、政府会議でしっかり議論をして一つの結論に至ったものは、こういう次のステップでも、反対が起こりにくいのです。

先ほど事例として挙げた、医療費適正化計画については、都道府県に対し、あらかじめ設定した医療に関する目標を達成できない場合にその要因を解消する努力義務を課すことを新たに規定しました。都道府県からしたら、新しく自分たちに義務が課されることになりますし、地域で医療を提供する医師からすると、必要な医療を提供できないことになりはしないか、と懸念を抱く可能性があります。懸念を抱く人たちを無視して、政策を実現してもいい結果にはなりません。

法律が通った後に、強い反対の声が上がっても、またすぐに改正することは難しいですし、そんな質の悪い法案を通した政府にも批判の声が上がってしまいます。法案が通ってから、主要な関係者から大きな批判の声が上がらないよう、あらかじめ意見を調整しておく場が政府会議の場なのです。

政府会議には大小あれど、何らかの形で政策に直結

少し専門的な政策テーマを例として用いましたが、政府会議には皆さんもよく知っているものがあります。例えば経済財政諮問会議です。

日本政府の政策の基本的な方針を取りまとめた骨太の方針の内容を議論する場であり、経済界の重鎮や大学教授やエコノミストが経済財政諮問会議のメンバ―として選ばれ、日本の政策が向かうべき方向性を議論するものです。 このような日本の大方針を決定する会議にも、民間の有識者が委員又は構成員などとして選ばれ、政策に影響を与えています。

政府会議はこのように官邸の旗振りで立ち上がる幅広いテーマを議論するものだけではありません。各省庁の局や課室の単位で立ち上がる政府会議もあります。

こちらは、ある法案の中身など具体的な制度設計を議論するものです。先ほどの医療費適正化計画を議論した医療保険部会などはまさにそういう位置づけであり、医療保険を所管する厚生労働省保険局の政策を議論する場となっています。他の部局の政策を議論する場は、また別の部会があります。

会議の格や位置づけはいろいろなものがありますが、それらの政府会議に共通するのは、何らかの政策検討のための会議であるということです。

政府会議では、ほとんどの場合、全会一致での合意が求められます。みんなの意見を集約するために会議をしたのに、反対している委員がいるようでは、その機能を果たせないからです。ですので、政府会議の意見は一定程度政策に反映されることになります。

千正組は、かつて官僚として政府会議を運営した経験もありますし、現在も代表の千正は政府会議の委員として活動しています。また、政府会議の委員として活動している方をバックアップして、政策が前に進むよう、地ならしをするお手伝いも日常的にしていますから、政府会議の知見がたまっています。

ここでは、どのような政府委員が選ばれるのか、また委員として選ばれた場合どのようにふるまうべきかをお伝えします。政策をより効果的・効率的に実現するための技術を一緒に学んでいきましょう。

(この続きはこちらのnoteから)

(執筆:西川貴清、監修:千正康裕)

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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2023年8月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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