著者は「『機能』よりも『意味』を売れ」と説く。商品の品質としての機能が重要であることは言うまでもないが、自分のビジネスを成長させていくためには単に購入する以上の意味がなければ市場では淘汰される。
飲食業であれ、製造業であれ、差別化することが困難な品質向上に極限レベルまで拘るよりも、店主を応援するために足を運びたい、このメーカーじゃなきゃダメ、と言ってもらえるような「顧客のファン化」を目指すことが合理的であると著者は説く。
この点は議員である評者も大いに共感するところで、所属政党の支持率下落に右往左往するのではなく、「所属政党は結果であって、小林だから応援する」というファンを如何に増やしていくかを日々考えている。
昭和55年生まれの評者は著者と同い年であり、お笑い芸人に留まらず絵本作家、経営者と活躍の場を広げる著者の世界観を生で感じたいと思い講演会に参加した。会場には若者から初老の男女まで、中には幼児を連れた夫婦もあちこちで見かけた。私たちが開く政治集会と、この講演会に集う層が明らかに異なることは一目瞭然であった。
様々な利害を調整する議員の特性上、一般論でお茶を濁さざるを得ないこともあるだろう。しかし、ここぞという時には著者のように本音で鋭く主張しなければ、議員の価値はない。
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提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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