伊勢湾の新たなゲームとして定着し、人気を呼んでいるサワラ&青物のキャスティングゲーム。春から初夏と、秋から冬にかけてがシーズンで、特に秋が数、サイズとも盛り上がる。今回、伊勢湾のサワラゲームの現況とともに、フィールドでの実釣の様子をレポートしたい。
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(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部)
伊勢湾でサワラ狙いキャスティング釣行
当海域を訪れたのは9月20日、乗船したのは三重県津市の津港から出船している大翔丸(たいしょうまる)。同船では午前と午後の2便体制でサワラを追っている。
午前5時すぎ、日の出とともに実釣スタート。サワラに追い上げられたベイトが海面を沸かせ、あちこちで直径数mのナブラを作っている。チャンスには違いないが、運の悪いことに当日は周辺の海でシラス漁が行われていた。
このためプレッシャーが入ってしまい、ルアーへの反応はイマイチ。しかし、乗船者たちはキャストをくり返し、ミノーやブレードジグで根気よく誘っていった。
本命ヒットするもフックアウト
日が昇り、一度止まった潮が動き始めたとき、チャンスは唐突にやってきた。まず常連の齋藤さんがサゴシを連打でキャッチ。さらに、左舷前部にいた濱田さんにビッグヒット。鋭いドラグ音が船上に響く。巧みなやり取りと船長の誘導を経て、船下にサワラが現れた。メタボな体系の見事なやつだ。
しかし、タモ入れ直前の最後のランで痛恨のフックアウト。姿を見ていただけに本当に悔しい限りだ。その後、サゴシサイズがたびたびキャッチされたが、惜しくもサワラは次回にお預けとなった。
しかし、取材に先立つ16日にはメーター級のサワラがキャッチされた。
取材直後の24日にも特大サワラのほか、サゴシやハマチ、シイラなどバラエティに富む釣果が上がっていた。
サワラの本番はこれからで、例年10~11月をピークに12月いっぱいまで楽しめる。後半になると湾奥から下ってきた群れと、外洋から入ってきた群れが渾然一体となり、エキサイティングな連発が楽しめる。
サワラキャスティングの基本について
注目のサワラキャスティングについて、大翔丸船長にタックルや津沖の傾向について聞いてきたので以下に紹介したい。
使用タックル
タックルは7~8ftのサワラ専用ロッドがベストだが、ルアーウェイト60g程度の回遊魚用キャスティングロッド、強めのボートシーバスロッド(スピニング)でもOK。
リールは4000~5000番程度の中型スピニング。ラインはPE1.5号を200m、リーダーは8号を短く40~50cmとする。リーダーを短くするのは、キャスト時にノット部分がガイド内に入らないようするため。この長さでも食いに影響はないようで、飛距離やキャスト時のトラブル防止と安全性を優先し、この仕様が完成した。
ちなみに、タックルを組むうえでの最優先事項は飛距離とのこと。ボイルに届くかどうかだけでなく、トレース距離が長くなるほど、サワラとの接点を増やせる。
使用ルアー
ルアーは12~14cmのスリム系ミノーと20~60gのブレードジグが中心。ミノーは基本はフローティング、風波があって浮いてしまうときはシンキングを用いる。先述のルアーで飛距離やレンジを攻めきれない場合に、シンキングペンシルやヘビーウェイトミノー、メタルバイブなどで補う。
サワラ=表層のボイル撃ちという先入観を持っている人もいると思うが、案外ボトムや中層で突然食ってくる。例え海面が静かでも、根気よくキャストを続けることが釣果に繋がる。
サワラの誘い方
誘い方は、ミノーのジャーキング、ブレードジグのスロー~ややファーストまでのただ巻きが基本だが、ショアジギングのようにキャストしたジグが着底したら表層までシャクるか高速で巻き上げ、再び沈めるという動きをくり返し斜めに探っていくのも有効だ。
なお、湾内のサワラはシラスや数㌢のイワシの稚魚をメインベイトにしていることが多く、これを再現するブレードジグはまさに万能薬。一例として、アクアウェーブのメタルマジックTGは当地の鉄板ルアーだ。
このほか、中層にいるアジやサッパがベイトとなるパターンや、なんと底でキスを食っていたりもする。固定概念にとらわれず、全層がヒットゾーンと考えキャストを続けることが大切だ。
<週刊つりニュース中部版編集部/TSURINEWS編>
大翔丸
出船場所:津港
この記事は『週刊つりニュース中部版』2023年10月6日号に掲載された記事を再編集したものになります。