日本郵船株式会社(以下、日本郵船)と九州電力株式会社(以下、九州電力)が建造を進めていた石炭専用船「松陽(しょうよう)」が運行を開始しました。

CO2や窒素酸化物の排出量が、他の化石燃料より少なく、比較的クリーンだとされるLNGを燃料とする船としては、世界初となるパナマックス(※)サイズの大型船です。

※パナマックス:2016年に拡張工事が施行される以前の旧パナマ運河を満載状態で通航できる最大船型のこと。閘門(こうもん)と水深により航行船舶のサイズが制限されることから、船舶設計の際に制限値のひとつとして扱われています。

排出ガス規制が背景に

この大型LNG燃料船は、国際海事機関(IMO)による船舶の排出ガス規制が、2020年から強化されてきたことを背景に建造されました。

主に海外から九州電力の石炭火力発電所への石炭輸送に用いられます。運行船社は、日本郵船。

従来の船舶燃料との比較で、硫黄酸化物(SOx)は約100%、窒素酸化物(NOx)は約80%、二酸化炭素(CO2)は約30%の削減が見込まれます。

設備拠点からのバンカリングにも対応

船名は、船籍港登録がなされた松浦(長崎県)にちなんで命名されました。

九州電力松浦発電所がある長崎県松浦市の土谷棚田は夕陽が名物だということで、松浦から見る夕日(陽)をイメージしているそうです。

九州電力の石炭火力発電所向けに海外から石炭を輸送することを目的に活用されます。

環境にやさしいとされるLNG燃料を利用

LNG燃料を供給する拠点が十分に整備されていないことは国際的な課題となっています。

現在では、バンカー船と呼ばれる専用船から洋上で燃料を補給する「バンカリング」という方法(Ship to Ship)と、港湾地区に設けられたLNG出荷設備から燃料を供給する方法(Shore to Ship)がとられています。

「松陽」は日本で初となる設備拠点からの燃料供給が行われました。洋上でのバンカリングにも対応しているそうです。

従来の船舶燃料油に比べて、LNG燃料を用いることで、硫黄酸化物(SOx)は約100%、窒素酸化物(NOx)は約80%、二酸化炭素(CO2)は約30%の排出削減が期待できます。