外国人経営者はどうなのでしょうか?例えば武田薬品のクリストフ ウェバー氏はプロ経営者でもありますが、それ以上に武田という組織をうまく利用しながら野心的な成長戦略を描いたのです。そういう意味では昔のカルロス ゴーンもそうでした。共に共通するのは組織を活用し、自分を高めるように仕向けるのです。そのために行うべき経営判断を大胆に着実に実行するのです。
結局、プロ経営者は成績を上げてなんぼなのです。ユニクロの柳井正氏は会社を愛していて売り上げをいつかは5兆円にすると目指しているし、永守重信氏はあの年齢になってもまだ最前線でM&Aを通じてモーターにこだわり続けます。
では新浪剛史氏はどうかといえば私はやや中途半端だと思うのです。三菱商事からローソンに行ったけれどローソンの立て直しは中途でサントリーに移ります。そこでビームとの経営統合では大活躍したけれど今は経済同友会の会長の業務が主流になっています。つまり一つのところに留まらないのです。それは誰のメリットかといえば新浪氏であり、会社の永続性ではないのです。もちろん、新浪氏がいたからこそできた業績もあります。そこは否定しません。ということはサントリーにすら人材は育っておらず、殻を破ってくれたことにプロ経営者としての能力を見たということでしょうか?
こうみると日本の過去30年の経営そのものに問題があったのかもしれません。過剰なガバナンスが社員を縮ませたように思えます。リスクへの異様な身構え方もあるかもしれません。それゆえプロの経営者への依存なのでしょう。ようやく変わりつつある日本型経営も私の感覚ではアメリカに比べ20年は遅れているように見えます。発想としては遅れを取り戻すというより日本型で世界を主導できる経営を確立するのもアリだと思います。追いかけるだけが全てではないと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年10月16日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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