結局は差別・偏見に帰着するのか

先ほどはガザ空港の写真をご覧いただきましたが、他にもアラブ・イスラム勢力によるささやかな抵抗が、まったく不釣り合いに大きな「報復攻撃」を招いた例は数えきれないほど存在します。

たとえば、道路橋のような日常生活に不可欠のインフラが、あっさり破壊されます。

あるいは、何十家族、百何十家族が暮らしていた集合住宅が破壊されます。

こんな残虐行為が毎年のように繰り返されていたら、たとえ軍事力ではとうてい太刀打ちできない相手だとわかっていても「どうせ死ぬならせめて一矢報いて死にたい」と思う家族を失った若者がハマスやヒズボラに志願するのも無理ないと思わないのでしょうか。

驚くべきことに多くのイスラエル人が「自分たちは周辺に生きているアラブ系の人間、イスラム教徒よりはるかに高等な存在であり、イスラエル人1人はアラブ人20~30人分の価値があるから、我々もほぼ同じ犠牲を出している」と公言しています。

また、やっとたかだか50~60年ほど前にユダヤ人に対する偏見を克服したように見える欧米の人々の多くも、人種・民族的な偏見を払拭したわけではありません。

ユダヤ人を自分たちと同格に「格上げ」してやったというだけで、相変わらずアラブ人、アジア人、アフリカ人には偏見を持ちつづけているのです。

そうでなければ、延々と続いたイスラエル軍によるパレスチナ民間人の殺傷を平然と受け流して、今回のハマスによる奇襲作戦の成功だけを大騒ぎで非難するわけがないでしょう。

もちろん、イスラエル人だからと言ってみんなが傲慢な人種差別主義者ではありません。最後に明るい希望の持てるイスラエル人のひとりをご紹介して、今回の投稿を終わりたいと思います。

こういう人たちの声が少しでも強まり、欧米知的エリートの支配力が少しでも弱まることを期待します。

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編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2023年10月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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