人は善人の中にいれば自然と感化され善人になっていく、ということを意味するのが「麻の中の蓬」という言葉です。
人間が環境によって大きな影響を受けるということをあらわすことわざの一つです。
では、なぜこの言葉には「麻」や「蓬」という植物が出てくるのでしょうか。
ここでは、「麻の中の蓬」という言葉について、その意味や由来、その類義語について解説します。

目次
「麻の中の蓬」とは
「麻の中の蓬」の由来

「麻の中の蓬」とは

「麻の中の蓬」とはどんな意味?麻や蓬が直接関係する言葉なの?
(画像=『FUNDO』より 引用)

まずは「麻の中の蓬」がどのような言葉なのか、その意味や別表現について見ていきましょう。

「麻の中の蓬」の意味
「麻の中の蓬」は、善人と交わり交流を図ることことによって、人は自然と善人となっていくということの例えた表現となります。
特定の条件下にあることで感化されていく、その様子をあらわしており、特に良い環境によって良い影響が生まれるという事になります。
どのような人も善人に囲まれていれば善人になっている、そのような状況をあらわしているのが「麻の中の蓬」なのです。

「麻の中の蓬」の他の表現
「麻の中の蓬」は、「麻につるる蓬」「麻中の蓬」といった表現がされることもあります。
言い回しこそ違いますが、どれも同じ意味となります。

「麻の中の蓬」の由来

「麻の中の蓬」とはどんな意味?麻や蓬が直接関係する言葉なの?
(画像=『FUNDO』より 引用)

では「麻の中の蓬」はどのようにして生まれた言葉なのでしょうか?
その由来について見ていきましょう。

由来は「荀子」の一節から
「麻の中の蓬」は、思想書の「荀子」の一節を出典とした言葉です。
「荀子」は同名の思想家であり、古代中国・春秋戦国時代に活躍した人物です。
この荀子という人物の著書を全32編にまとめた思想書「荀子」の第一篇・勧学に「麻の中の蓬」の由来となる言葉は登場します。
そこには「蓬麻中に生ずれば扶けざるも直し」とあります。
この一文は、麻の中で育てば蓮でもまっすぐに育つという意味です。

蓬の性質と麻の性質と違いを喩えに使った言葉
「麻の中の蓬」は、麻と蓬の性質と違いから来た言葉と言えます。
蓬は、地べたに生える植物です。
それに対し、麻はまっすぐ空に向かって伸びていきます。
この大きく異る2つの植物の性質から、本来は地面の低い所で育つ蓬も、麻に囲まれていればまっすぐに伸びていくだろう、と表現しているわけです。