意識すべきはボールの位置

福岡は2023シーズンのJ1リーグで、2番目にボール支配率が低い。一方で積極的に高い位置でのボール奪取を狙っている。名古屋との準決勝第1戦でも、MF紺野和也の積極的なプレスから決勝点が生まれた。その狙いについて、監督としての考えの一端を語ってくれた。

「ボールが自分たちのゴールに近いところにあれば失点する可能性が高いし、相手ボールであっても、相手のゴールに近いところにあれば得点するチャンスがあります。私の中ではそういう考え方です」


アビスパ福岡 写真:Getty Images

「アビスパここにあり」という域に入っていきたい

天皇杯とルヴァン杯、2つのカップ戦で準決勝に進出したことやルヴァン杯準決勝の第1戦に勝利したことで、地元メディアを中心に福岡の試合報道が大幅に増加しつつある。名古屋戦での勝利をトップニュースで報じる地元テレビ局もあったほどだ。そのことについて、長谷部監督はこのように語っている。

「マスメディアにこれだけ扱ってもらうためには勝ち上がらないといけないし、勝ったら『何が起きているんだ、アビスパ!』となる。その『何が起きているんだ』から『アビスパここにあり』というような、認めてもらえるような域に入っていけたらなと思っています。

今は『どうした、なかなかやるな』というようなところだと思うんですけれども(ルヴァン杯で)2年連続ベスト4に入ったことであったり、天皇杯は負けてしまいましたがカップ戦両方ともベスト4に入ったことであったり、リーグ戦も少しずつ順位が上がってきたことであったり。そういうことが『アビスパここにあり』『福岡に強いチームがあるよ』と認められるような要因になるだろうし、今そこに手をかけているのでそうなったらいいなと思っています」

クラブとしても観客動員数増加に繋げようと積極的に施策を行っており、福岡のホームであるベスト電器スタジアムに横浜F・マリノスを迎えて行う10月28日のJ1リーグ第31節に、2万人以上の観客を目指そうと「アビスパ2万人プロジェクト」を始動した。福岡市地下鉄では6両1編成を丸ごとジャックした『アビスパトレイン』が運行中。思わず笑えるひと言で選手を紹介する宙吊りポスターや現状の熱量を伝えるサポーターからのコメントなどが車内を埋め尽くしている。試合当日はタレントのなかやまきんに君が来場し、会場を盛り上げる予定だ。

積み上げたスタイルでルヴァン杯準決勝第2戦を勝ち抜き、初タイトルを獲得すること。福岡の地で存在感を大幅に高めること。現在チームが好調なだけに、この機会に乗じて2つの目標を達成してほしいところだ。