誤解3. お金は使うと増える

「お金は使うと増えるから使え」という言葉がある。確かに資産運用などで現金を金融資産や実物資産へ変えてうまくいけばこの言葉通りになるだろう。しかし、ことビジネスについて言えば「お金は使えると増えるのではなく減る」という当たり前の真実が見えてきた。

たとえば「節税対策だ!スマートに経費化だ!」と言う人がいるが、シンプルに節税のためにお金を使えば手残りのお金は減る。確かに広告宣伝費や事業投資にお金を投じれば増えるかもしれないが、それはビジネスチャンスが到来したときやピンチからの起死回生の一手としてするものであって、節税のために無理にするものではないだろう。

そしてある程度お金に余裕ができると、雑に使ってしまうようになりがちだ。お金がない時期はあれこれ頭を捻って資金的な制約がある中でコストをかけないマーケティングアイデアを振り絞っていたビジネスマンが、安易な流行りの広告に投じて大きく損をしてしまうみたいな感じである。

お金を使って増えるケースは、使う前にある程度、リターンとしての粗利がいつ、どういう形で、どのくらいの規模返ってくるのか?という算段があってことだ。それを持たずしてお金を使うなら、それは単なる浪費でしかない。お金は使うと減るのだ。

誤解4. 人脈は広い方がいい

「人脈は大事」と言う人がいるが、自分はこの意見にはかなり懐疑的である。というのも、世の中には関わって良くなる人と、そうでない人に別れるという当たり前の事実が存在するためだ。「いい人脈は大事」なのであって、とにかく人を数集めればなんでもいいというわけではない。

たとえば個人では優秀な人材でも、集団に属すると途端にだめになるパターンは少なくない。集団に身をおいていることで「自分が頑張らなくても他の人がやるだろう」と責任が希薄化して思考停止するためだ。自分自身、チームワークはとにかく苦手で、個の考えを出す時に変化を嫌う抵抗勢力と交渉するプロセスがムダにしか感じないので、それなら最初からのびのびと自由に一人で仕事をしたいと考えてしまう。結果、今は一人でできる仕事ばかりやっている。

また、一緒に仕事をする相手やお客さんとも相性がある。相性が悪いと労働生産性は著しく落ちる。たとえば「仕事はパフォーマンスを出してナンボの世界なので、必要なことなら忌憚なく意見を出してベストプラクティスを追求するべき」という価値観の人と、「仕事といえども人間感情を害するとうまくいかない。少しくらい納得行かなくても、我慢して小さなことにはイチイチ波風立てるような意見を出すべきではない」という価値観の人が一緒に仕事をするとうまくいかない。どちらかが決定的に間違っているというわけではなく、これは相性問題に近い。

正直、人脈は狭ければ狭いほどいいと思っている。しかし、広さを犠牲にする分、深さがあった方がいいと思うのだ。

今回取り上げたことに限らず、世の中は印象と事実は異なる事がよくある。大事なのは印象を事実にアップデートして、その都度置かれた状況下で最大のパフォーマンスを出すための環境変化に対応することである。

 

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