パナソニック コネクト株式会社とPanasonic R&D Center Singapore、NTU Singaporeが産学で共同開発した、ディープラーニングを用いた顔認証技術に関する論文が画像認識分野のトップ会議の1つと見なされているICCV(International Conference on Computer Vision)2023で採択されました。
開発の経緯にはAIの公平性への問題意識
昨今の生成AIの台頭により、その公平性への社会的関心が高まっています。
一方で、AIを活用した顔認証技術はディープラーニング技術を土台としているため、特定の人種や女性などにおいて、データ数が少ないことから顔認証の精度が低下するそうです。
この問題を踏まえ、「すべての利用者にとって公平な顔認証を実現したい」という思いから、パナソニック コネクト社は今回の研究開発を行いました。
パーティション学習で従来の顔認証に関する問題を解決
論文では、顔認証における学習データの偏りが認証精度に影響を与えてしまう問題を解決すべく、「パーティション学習」という手法を初めて導入しました。
この手法は、まず顔学習データを自動的に人種や性別などの属性ごとのグループ(=パーティション)に分割。その後、すべてのグループの精度を上げる方法を学習します。
この学習を複数回行うことで、さまざまな属性に共通して有効となる顔認証モデルを学習し、認証精度の低下の抑制に成功しました。
すべての人が国籍や年齢、性別などに問われないフェアな環境づくりのため、パナソニック コネクトは今後も公平性改善に向けた技術開発を継続するとのことです。