株式会社帝国データバンクは、中古車の買い取り・販売を手掛ける「中古車店」の倒産発生状況についての調査・分析を行いました。

コロナ渦では空前のバブルの中古車業界

コロナ禍では、工場の操業停止や半導体部品の供給が滞ったことなどで新車の納品遅れが多発。さらに「密」を避ける移動手段として自動車需要が高まったことも加わり、自動車の買い替え需要が中古車に集中しました。



販売単価が上昇し、中古車価格が新車価格を超える車種も見受けられるなど、「空前のバブル」とも評され、中古車販売市場は過去最高の3.9兆円を記録しました。

業界大手での不正が発覚・業界全体に波及

中古車人気が過熱すると同時に、車仕入れ価格が高騰。その結果、中古車販売店の倒産は2023年1月から9月で計57件にのぼり、前年の年間件数52件を既に上回っており、過去10年間の最多に到達する可能性があります。

価格競争が激化するなか、中古車買取・販売業者大手の株式会社ビックモーターの不正が発覚。同業他社でも不正が横行していることが取り沙汰されました。この調査を行ったTDBは「中古車業界に対する顧客の目が厳しくなり、販売やアフターサービスの整備入庫にも影響が出始めている」との見解を示し、中古車店からは「ユーザーが不安を抱えており、購買意欲が低下している」との声が寄せられていると伝えています。

中古車の支払総額表示が義務化

従来、中古車の販売価格は車両価格のみが表示されることが多く、消費者の不信感につながっていました。

10月1日からは、車両価格に諸費用を加えた「支払総額」の表示が義務化され、透明性を確保する取り組みが行われています。

調査概要

集計期間:2023年9月30日()まで

集計対象:負債1,000万円以上法的整理による倒産

調査機関:株式会社帝国データバンク