イタリア人は家族重視のライフスタイル。人生を楽しむ術に長けている

彼らは基本的に家族重視であり、宗教的であり、保守的なライフスタイルを好む。変わらぬ日々を黙々と営む。それゆえ、日常に彩りが必要だった。そこでデザインに注目する。食器やテキスタイル、ファッションへのこだわりが生まれ、それはやがてバイクやクルマといった新しい生活パートナーにも求められていく。イタリアのクルマはかっこいい、もしくはユニークだ。そんな評価が確立していった。

イタリアはなぜ魅力的なのか!? スーパーカー伝導師の西川淳氏がズバリ解説
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
イタリアはなぜ魅力的なのか!? スーパーカー伝導師の西川淳氏がズバリ解説
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

もちろんイタリアのすべてがかっこいいわけではない。かっこよくないコトもそれなりにある。けれどもそれらを上回る美が多数存在する。歴史的な建造物や美術や音楽といった文化遺産の数々を見ればそれは明らかだろう。

要するにイタリア人は「変わらぬ人生を楽しむ術に長けている」というわけだ。そんなお国柄だから、スーパーカーやスポーツカーでなくても、単なる実用車がすでに個性に溢れている。しかも、運転して楽しい。会社への行き帰りからバカンスの長距離ドライブまで、運転そのものに人生を感じることができるクルマなんてそうそうない。

イタリアはなぜ魅力的なのか!? スーパーカー伝導師の西川淳氏がズバリ解説
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
イタリアはなぜ魅力的なのか!? スーパーカー伝導師の西川淳氏がズバリ解説
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

筆者が最も大切にしている愛車は1971年式のフィアット・ヌォーヴァ500(チンクェチェント)だ。丸餅のような形に必要最小限の機能と性能を盛り込んだ、イタリアを代表する名実用車である。

最もプリミティヴなクルマでありながら運転のすべてが詰まっていることに驚く。スムーズかつ速やかに走らせようとすれば、正確なアクセルコントロールとギアチェンジ、ハンドル操作が求められる。だから何年乗っても飽きない。乗るたびに何か発見がある。きっとイタリア人だったらそうはならない。私がイタリア人でないから、そこに日本車にはないものを発見し、面白がっている。これは外国製自動車に乗る際の楽しみというものだが、イタリア車はそれが顕著だ。
チンクェチェントを駆っているときは、すべてを忘れて運転に夢中になっている。その「一瞬の生」を存分に楽しんでいる。まるでイタリア人になった気分で。

イタリアはなぜ魅力的なのか!? スーパーカー伝導師の西川淳氏がズバリ解説
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
イタリアはなぜ魅力的なのか!? スーパーカー伝導師の西川淳氏がズバリ解説
(画像=アバルト695トリビュート131ラリー/価格:5MT 517万円。1970~80年代にWRC(世界ラリー選手権)で活躍した131ラリーにインスピレーションを得た限定車(世界695台/日本販売200台)。1.4リッター直4ターボ(180㎰/250Nm)搭載。大型リアスポイラー装着、『CAR and DRIVER』より引用)