米国とソ連が対峙した第1次冷戦時代は、原爆が再度投下はされることなく幕を閉じた。ジョージ・W・ブッシュ米大統領時代の国務長官だったコリン・パウエル氏は、「使用できない武器をいくら保有していても意味がない」と主張し、「核兵器保有」の無意味論を主張した。それが第2次冷戦時代に入り、核兵器に触手を伸ばす国が出てきた。
そしてウクライナ戦争では大量破壊兵器に代わって、ドローン、キラーロボットといった人間の介入なく、敵の目標を探して攻撃する半自律型、完全自律型兵器が戦場で主役を演じる時を迎えようとしている。もちろん、キラーロボットの製造、使用を規制するために「自律型致死兵器(LAWS)の法的枠組みに関する交渉」はジュネーブの軍縮会議で行われているが、現時点では反対もあって成果はない。
現実のウクライナ戦争を振り返る。キーウ側は欧米諸国に武器の供与を求めてきた。例えば、欧州の大国ドイツは最初は防御用武器に制限(軍用ヘルメットなど)、その後、防御用戦車、攻撃用戦車「レオパルト2A6」、地対空防御システムなどをウクライナ側に供与したが、キーウが要求する戦闘機、長距離巡航ミサイル「タウルス」の供与は依然拒否している。
明らかな点は、戦争が長期化すれば、高性能で破壊力の強い武器が求められる。また、戦争の当事国ロシアやウクライナにとって人的資源(兵士)は無限ではないから、ドローン、キラー・ロボットなどの半・完全自律型兵器が前面に出てくることが予想される。その結果、戦争は一層、残虐性を帯び、非人間的な様相を深める。この懸念は次第に現実的になってきている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年10月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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