「スラブ雪崩」に巻き込まれたのか
そしてゴーム博士は、コンピューターシミュレーションの助けを借りて、この雪崩に巻き込まれた人体に生じる可能性の高い外傷を調べた。シミュレーションは比較的小さなスラブ雪崩でさえ、胸部および頭蓋骨の損傷につながる可能性があることを示唆していた。
特に、学生たちは雪とスキーで硬く補強したテントの床の上で寝ていたので、雪崩に巻き込まれた時の衝撃は通常より大きかったはずだという。

そして研究者チームは、事件で起きたスラブ雪崩は、この斜面に作ったテント設営のためのくぼみに一因があると言う。学生たちは強風から逃れるために、山の斜面の雪を掘って平らな面を作り、テントを設営した。また、他にも山の地形、氷まじりの強風などの組み合わせが「スラブ雪崩」を引き起こしたと考えられると結論づけた。

さて、雪崩の後に何が起こったかであるが、テントはナイフによって切り裂かれていた。なぜ彼らが大事なテントを切り裂いたのかについては、今まで大きな謎であったが、「雪崩につぶされたテントを抜け出すためにやったことではないか」と研究チームは推測する。そして学生たちは雪の中、山をやみくもに駆け下りた。ほとんど下着姿で発見された死体は、服を着る時間がなかったことを物語っている。
結果、ほとんどの者は低体温症で死亡したが、「雪崩による骨折が死因となった人もいた可能性がある」と研究者は述べている。
その他の謎、「放射射能汚染が確認された2遺体」、「一部の遺体の眼球や舌がなくなっていた」については、研究者は何も述べていない。

この「ディアトロフ事件」には、60年後の現在でも情報交換をしあう熱狂的なグループがいくつも存在する。また、2013年にはこの事件を題材にしたSFホラー映画も公開されてもいる。
今回の研究をもってしても全ての謎が解けたわけではなく、今後も本件に関する様々な考察が飛び交うことになるだろうが、今までの中では最も説得力のある推測と言えるのかもしれない。
参考:「Daily Mail」「CNN」「Nature」ほか
文=三橋ココ
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提供元・TOCANA
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