魚編の漢字には「知らないと読めないもの」が多いですが、中には「読み方を知らなくてもなんとなく推測できるもの」もあります。
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「鮃」
魚の名前や魚に関連する言葉を示す「魚偏の漢字」。マイナーなものを含めると200個近くあり、その読み名を当てるのは雑学クイズの代表的なものともいえます。
ただ、中にはその読み方を知識として持っていなくても、パッと見ただけでなんとなく読めそうなものがあります。
例えば「鮃」。魚編に平→平たい魚→ヒラメ? と容易に連想可能ですよね? 今回の記事では、こういった「知識なく読めるかもしれない魚編の漢字」をいくつか紹介します。
漢字の知識で読める「鮟」「鱇」
まずは「鮟」と「鱇」。この2つの字はそれぞれ見てもちょっとわかりにくいですが、2つ並ぶと読み方が見えてきます。
漢字は基本的に意味を表す「へん」と読み方を表す「つくり」から構成されており、つくりを見ればその字の音読みがわかります。「鮟鱇」という字のつくりだけを並べると「安康」。国家安康の「あんこう」ですね。この事により鮟鱇も「アンコウ」と読むのだとわかります。
皮をはぐから「鮍」
魚偏の漢字の中には、その魚の「調理法」に由来する漢字もあります。
そのひとつが「鮍」。これはそう「カワハギ」です。カワハギは鱗と融合したとても丈夫な皮を持っており、どのように調理する場合でもどこかのタイミングで皮をはぐことからこのような名前がつけられました。
「鮍」は「調理法を知っていれば読める」字といえるかもしれません。
言われてみれば納得の「鰹」
続いてご紹介するのは「鰹」。メジャーな魚だから知っている人も多いかもしれませんね。
これはもちろん「カツオ」と読みます。カツオといえば鰹節の原料となる魚ですが、実は鰹節は「世界一硬い食材」としても知られるユニークな食材です。硬い節に加工される魚だから「堅魚」とよばれ、これが訛ってカツオと呼ばれるようになったとされています。
「鰹」は少しの発想力があれば読める字と言えそうです。
魚の知識があれば読める?「鯳」
最後にご紹介するのは「鯳」。これは字としてもかなりマイナーで、ヒントがないとちょっと読み方を当てるのは難しいかもしれません。
この字は「スケトウダラ」と読みます。すり身がかまぼこやちくわに、卵巣がたらこに加工される漁業上極めて重要な魚です。
スケトウダラを含むタラの仲間は深海性のものが多く、深い海底に棲んでいます。そこから「底に棲む魚」のなかで最もメジャーな存在であったスケトウダラに、この字が当てられたようです。
「鯳」は、魚の生態の知識があればギリギリ読める字といえるかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>