アメリカでは住宅危機

一方の米国では、供給不足と価格高騰、住宅ローン金利の急上昇によって住宅取得をめぐる環境がますます悪化している。

Realtor.comは住宅不足は危機レベルに到達していると指摘。推計2,300万~6,500万戸が不足しているとした。今年2月に6%だった30年固定平均住宅金利は、8月に約20年ぶりに7%を突破した。今週は7.72%まで上昇したと報じられた。

2022年に急騰した住宅価格の中央値は、2023年第1四半期に横ばいまたは下落したが、その後2四半期連続で上昇し、第3四半期は前年同期比6.5%増の35万1,250ドル(約5,240万円)となった。

ATTOMの調査によると、住宅ローンの支払いと損害保険、住宅ローン保険、固定資産税を足した一般的なコストは 2,053ドル(約30.6万円)となり、史上初めて2,000 ドルを超えた。賃金の伸びが追いつかず、平均年収の値7万1,214ドルに占める住宅に関わるコストの割合は34.6%へと上昇。2007年以来の高水準となった。

一部では、機関投資家が住宅危機を悪化させているといった声も上がっている。

ドレクセル大学の研究者らは世界経済フォーラムに寄稿した論説「アメリカの壊れた住宅市場をいかに修復するか」で、調査対象とした代表的な中規模都市では、投資家の参入によって「購入プロセスが困難になり、初めての住宅購入者や1世代目の住宅所有者が市場から締め出されている」と指摘している。