「のたうちまわる」は、苦しみや痛みなどから転げ回ることを意味する語句です。
ところがこの言葉の由来の背景には『ある動物』の姿が。
実は、のたうちまわるというのは『ある動物』の行動から来た言葉なのです。
そこでここでは、「のたうちまわる」の意味だけではなく語源についても解説します。
「のたうちまわる」とは

そもそも「のたうちまわる」とは具体的にどういう意味を持つ言葉なのでしょうか。
ここではその意味だけではなく、類義語なども併せて見ていきましょう。
「のたうちまわる」の意味
のたうちまわるとは、苦しみや痛みなどでもがき、悶えながら転げ回ることを意味します。
行動を伴う表現として用いられることが多いですが、悲しみや苦悩など精神的な面でも使われることがあります。
「のたうちまわる」の類義語
「のたうちまわる」と似たような表現としては、「七転八倒」や「苦悶」があげられます。
ここからは、それらの類義語についても見ていきましょう。
七転八倒
七転八倒は、何度も転んだり倒れたりすることを繰り返すことを意味します。
激しい苦痛などで酷く苦しみ悶えることを意味する他、混乱していることなども指すことがあります。
主に自分では解決できない状況に苛まれ、その狭間でもがいている様子に対しても用いられます。
苦悶
苦悶とは、肉体的または精神的に苦しみ悶えることを指す言葉です。
体だけではなく心までもがズタボロになっている様もあらわします。
単「苦悶の表情を浮かべる」など、状態を表現する際に用いられます。
「のたうちまわる」の由来

「のたうちまわる」は、人間が転げ回る様子を指している言葉ですが、その由来となった背景にはある動物がいるとされています。
すでに写真でネタバレしてしまっているのですが、その語源にはイノシシが関係しているのです。
原型は「のたうつ」+「まわる」
「のたうちまわる」の類義語という言葉は、「のたうつ」という言葉と「まわる」という言葉が合わさった表現です。
「のたうつ」とは、苦しみもがくことを意味する言葉です。
この「のたうつ」に強調表現として回転することを意味する「回る」が組み合わせられ、苦しみや痛みのあまり転げ回るという意味の「のたうちまわる」になったとされています。
「のたうつ」のは人間ではなかった
「のたうつ」という言葉は、イノシシが泥の上で転がる様子から来た表現だとされています。
のたうつの「のた」とは「ぬた」のことであり、漢字では「沼田(ぬた)」と表記します。
イノシシが沼などの湿地帯「沼田」で転がる習性から「のたうつ」は生まれたともされています。
このイノシシが泥浴びをする姿は、悶えているようにも見えます。
そこから「のたうつ」は人間にも使うようになり、意味も現在のように転じました。
イノシシがのたうつ理由
ただし、イノシシがのたうつ理由は決して悶えているからではありません。
イノシシがのたうつのは体温調節をするためだったり、付着した寄生虫を落とすためだったりといった目的で行われています。
つまり、イノシシにとって泥浴びはむしろ悶えるというより気持ち良いお風呂みたいな感覚なのです。