キャッシュレス決済を利用するメリットは何だろうか。政府もキャッシュレス決済を推進しており、2027年までにその比率を4割程度にまで引き上げることを目標としている。セキュリティや手数料などに不安を抱く人もいまだ多いが、改めてキャッシュレス決済のメリットについて紹介しよう。
そもそもキャッシュレス決済とは
経済産業省が定めたキャッシュレス・ビジョンによると、キャッシュレス決済とは「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」のことである。具体的には現金を使用せず、クレジットカードや電子マネー、モバイルウォレットなどを使用して店舗などで代金を支払うことだ。
キャッシュレス決済には、プリペイド(前払い)、リアルタイムペイ(即時払い)、ポストペイ(後払い)がある。プリペイドは事前に利用金額をチャージするもので、SUICAをはじめとする交通系電子マネーなどがこれに当たる。リアルタイムペイはデビットカードやモバイルウォレット、ポストペイはクレジットカードが代表的だ。
キャッシュレス決済のメリット1 現金を持ち歩く必要がない
キャッシュレス決済の最大のメリットは、現金を持ち歩く必要がなくなることだ。小銭はかさばるし、重たい。紙幣も数枚であれば問題ないが、数十万円以上になればかさばり、重い。そもそも現金は財布に入れるので、財布自体のかさや重さもある。
キャッシュレス化が進むことで、この問題は改善される。女性ファッション誌を見てみると、一昔前の長財布が減り、コンパクトなミニ財布が紹介されていることが多い。これはキャッシュレス化が進んだことで現金を持ち歩く必要が減り、財布が小さくなっていることを示している。
現金には、紛失や盗難の危険性がつきまとう。クレジットカードのCMにあったが、現金には名前が書いていない。一度手元から離れてしまえば、自分のお金であることを証明することは難しい。その点、クレジットカードであれば紛失や盗難があったとしても、気づいた時点で利用を止めることができる。しかも届出日から60日以内に利用された代金については、カード会社の負担となる仕組みだ。後払い式の電子マネーも、クレジットカードと同じ補償がある。記名式の電子マネーも、紛失や盗難の際は利用を停止し、残高を保護することができる。ただし、クレジットカードなどにはスキミングなどの危険があるので注意したい。
キャッシュレス決済のメリット2 ポイントやキャッシュバックがもらえる
キャッシュレス決済の大きなメリットとして挙げられるのが、ポイント制度やキャッシュバックだ。同じ額を現金で支払ってももらえないポイントやキャッシュバックがあるため、よりお得に買い物ができる。2018年12月にPayPayが行った「100億円キャンペーン」が大きな話題になったことは記憶に新しいが、それぞれの決済サービスでは顧客を囲い込むためのポイント制度に力を入れている。
クレジットカード会社も、これまで独自のポイント制度を運営してきた。オリコカードでは、年会費永年無料のカードで最大2%のポイント還元を受けられる。同じく年会費永年無料の楽天カードは、ポイント還元率は1%だが、頻繁に新規入会キャンペーンを行っており、入会するだけで5,000円相当のポイントがもらえたりする。
クレジットカード以外のキャッシュレス決済サービスでも、お得なポイント制度はたくさんある。nanacoでは100円で1ポイント貯まり、1ポイントを1円として次の支払いで使用できる。つまり、100円ごとに1円のキャッシュバックを受けているとの同じだ。PayPayではキャンペーンとは別に、PayPayで支払った場合に支払い金額の0.5%のPayPayボーナスが付与され、PayPay残高として1円単位で使用できる。
決済を行った店舗独自のポイントとは別に、支払いに利用した決済サービスのポイントがもらえることは、決済サービスを利用するメリットと言える。
キャッシュレス決済のメリット3 利用履歴が一目でわかる
3つ目のメリットは、利用履歴を照会できることだ。現金では、何にいくら使ったかを確認するにはレシートを見直す必要がある。レシートを財布に入れているとかさばるだけでなく、紛失しやすい。自動販売機など、レシートをもらえない支払いもある。
キャッシュレス決済なら、何にいくら使ったかを確認することができる。利用履歴が自動で蓄積され、スマートフォンやPCですぐに照会できるため、自分の支出を把握するのに役立つ。銀行口座の残高を紐づけられる家計簿アプリなどを利用すれば、さらに便利だ。
支出を管理することは、資産形成においてとても重要だ。キャッシュレス決済を利用することで支出管理の手間を省き、資産形成に役立てることができる。
政府もキャッシュレス決済を推進 消費増税に伴い最大5%の還元も
キャッシュレス決済が広がりつつあるとはいえ、海外に比べると日本はまだまだ普及率が低い。2015年の調査では、韓国のキャッシュレス決済比率は89.1%で、日本は18.4%だった。日本政府もキャッシュレス決済を推進しており、2019年10月の消費増税に伴い、キャッシュレス決済に限って最大5%分が還元される制度も予定されている。2019年3月12日からキャッシュレス決済のポイント還元事業に参加する決済事業者の募集が始まり、大手カード会社やLINE、PayPay、メルカリ(メルペイ)なども参加する方針だ。
キャッシュレス決済には多くのメリットがあり、今後ますます利用者は増えるだろう。消費増税前に自分がどのサービスを利用するかを検討し、使い始めたい。
文・MONEY TIMES編集部
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