<国連の原則・目標にも明白に違反>

 万博協会の動きを受け、過労死弁護団全国連絡会議は今月3日、「大阪・関西万博への労働時間規制の適用除外を求めたことへの抗議声明」を発表。前出の新国立競技場建設での過労死事件を引き合いに出し、<新国立競技場のデザインが変更になる等によって工期がひっ迫し、超長時間労働を行わざるを得なくなることで生じたものであって、現在の大阪・関西万博と全く同様の構造>と指摘。次のように主張している。

<「労働力不足」を理由としてこの適用除外の延長を求めるということはすなわち、上限規制を超えたような時間外労働が発生することを許容し、労働者の生命・身体を危険にさらすことを許容することを意味する>

<今回のような国際的行事において、長時間過重労働を労働者に課すことは、これら国連の原則・目標にも明白に違反するものである。 仮に、博覧会協会が求めるような労働時間規制の適用除外を行わなければ開催できないイベントであるというならば、開催を取りやめるほかはない>

 建設業界関係者はいう。

「大手ゼネコンは今、建設の需給がひっ迫して人手不足の状態であり、日本政府のみならず海外の国がからむ万博のような面倒くさい仕事はやりたくない。なのでパビリオンなんかでも、話が来てもいろいろとできない理由を並べたり、高い見積もり金額を提示して受けないようにしているのかもしれない。もし工事を引き受けて東京五輪のときのように社員の労災事件が起きれば、ゼネコン自身も世間からバッシングを受けるリスクもあり、万博の仕事なんて受ける旨味も理由もないというのが本音だろう」

 また、元ゼネコン社員はいう。

「予算の制約上、大幅に作業人員を増やせない一方、工事全体の作業ボリュームは変わらないので、時間外労働の上限規制があろうがなかろうが、作業員一人当たりの労働時間は変わらない。なので、もし上限規制がかけられれば、今も多くの建設現場で常態化しているように、上限を守っているように見せかけるために社員による残業時間の過少申告が行われるのは目に見えている。もしかしたら万博協会はそうした改ざんの発生を避けて、工事作業員の労働実態の透明化を図ろうとしているのかもしれない。

 東京五輪に伴う新国立競技場建設と同様に、万博も突貫工事となり、現場が錯綜するのは必至なので、新国立競技場建設のときのような過労死事件などが生じてしまう懸念もある。ゼネコンで働く20~30代の現場監督は、万博の仕事のような突貫現場に配属されることは避けたいと考える人も多いはず。上層部は自分や会社の評価につながると考えて受注を取りに行くのでは」

 当サイトは万博協会に見解を問い合わせたが、期日までに回答を得られなかった。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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