明るみになった大富豪の“ダークサイド”
当時有力となった説に、ローウェンスタインが故意か偶然か、トイレの外部ドアから墜落して死亡したというものがあった。しかし、外部ドアには「EXIT」と明記されていただけでなく、飛行中に誤開閉できぬようバネ式のラッチと外気流の圧で閉まる設計となっており、飛行中の空中でこじ開けるには屈強な男数人が必要となる。また、英国空軍省が数年後に行った調査で「フォッカー・トライモーターのドアを誤って開けることは不可能」と断定した。
ローウェンスタインが自力で、飛行中のドアを開けることが不可能なら、自殺でもなければ事故でもない。とすれば、残るは殺人だ。
ローウェンスタインの“ダークサイド”が明るみに出るまで時間はかからなかった。経営する投資会社での不正、アメリカのマフィアのボスであるアーノルド・ロススタインとの麻薬取引、そして離婚寸前の妻マドレーヌに至っては、莫大な遺産欲しさに夫殺害を企てていたなど黒い噂が絶えなかった。つまり、ローウェンスタインの死を望む敵や、彼の死によって何かを得ようとしていた人間が相当数いたことになる。しかし、小型旅客機内で、誰にも気づかれず犯行しおおせるだろうか?

乗員単独もしくは複数が、第三者に買収されたり強要されたりした場合にのみ可能であったといえる。小型機は騒音も大きく、ドアはメインキャビンからは見えないので、狭い機内でも目立つことなく行われたのかもしれない。また、パイロットのドリューが飛行場ではなく、ひと気のないダンケルクの浜辺に緊急着陸を決めたのも不審だ。フランス軍が現場に到着した際も、自分たちのボスが蒸発したと認めるまで30分もはぐらかしたと記録されている。こうなると、乗員全員がグルだった可能性すらある。だが、彼らには陰謀に結びつく証拠がなく、誰も起訴されず、拘留もされなかったのだ。
この事件は、ニューヨーク・タイムズ紙が「民間航空史上最も奇妙な死亡事故の1つ」と呼ぶ未解決事件となった。世紀の完全犯罪だったのだろうか、それとも――。当時の関係者はすべて鬼籍に入ってしまい、永遠に解けないミステリーだけが残った。
参考:「Mysterious Universe」「Chicago Tribune」「Wikipedia」ほか
文=佐藤Kay
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提供元・TOCANA
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