会員制の日本酒ブランド「F1625」から2022年7月に発売した「いのたち2022」が発売から1年半経過し、以前より味わいに幅や奥行き、微かな円熟味が出てきているという。

本来は熟成に不向きとされる日本酒を冷蔵保存し、ヴィンテージという考え方で日本酒の新しいあり方を提案する。

マスターライン「いのたち2022」を再評価

F1625では徹底して素材を厳選し、手間暇をかけた醸造工程で究極の一本を造り出すため、限定醸造・招待会員制での販売を行なっている。

2022年7月に発売した「いのたち2022」は、冷蔵環境での熟成が非常にうまく実を結んでおり、味わいを再評価することになった。その結果、10月1日(日)より価格を33,000円から35,000円に改定することが決まった。

熟成の過程を定点観測し、ヴィンテージという考え方で再評価

F1625では「いのたち」をヴィンテージという考え方で評価し、定点観測をしながら、どのような熟成の過程を辿るのかを厳しく予測し、見守っている。その結果、熟成のポテンシャルを秘めた年度の「いのたち」のみ価格を改定していく。

「熟成」という可能性を宿した日本酒は多く存在するわけではない。技の限りを尽くして醸造した「いのたち」であっても熟成の成功を約束されたものはない。そのため、必ず毎年価格を上げるわけではなく、価格の上げ幅も一年毎の成長に相応しいものとする。

優れた日本酒の美味しさは1年後も成長していく

日本酒は早く飲む方が良い、熟成は不向き、といわれることが多いがF1625ではそのように考えていない。

例えば料理とのペアリングを考えたとき。まったく熟成していない日本酒でも相性の良い料理はあるが、一方で、ペアリングの可能性やおもしろさを狭めてしまう場合もある。しっかりした味わいのクリーミーなソースや、鴨や羊のような少し特徴のある肉料理の場合、熟成した日本酒の方が格段に相性が良いと感じることが多いと考えている。

しかしながら、どのように日本酒が熟成していくかは誰にも分からない。長年の経験から、ある一定の条件が必要な事は分かるが、だからといって必ず良い熟成をするとは限りらない。ベストな熟成環境や管理を整え、あとは時間という力がいかによい働きをしてくれるかどうか、それしかないのだ。良い熟成をしていく、ということは実に奇跡に近いともいえる。

熟成への道を歩みはじめた「いのたち2022」

「いのたち2022」は、今後も熟成によってさまざまな変化を遂げていく。現在の「いのたち2022」を開封し、味わいを楽しむことはもちろん、熟成という未知の冒険を楽しみに待ちながら、時という効果にお酒を託してみるのも、もう一つの楽しみ方だ。

経年しながら変化する奇跡のような日本酒を、楽しみに待ちたい。

(hachi)