河口湖オルゴールの森は、雄大な富士山と河口湖を背景に中世ヨーロッパを模した庭園美術館「河口湖音楽と森の美術館」にて秋の企画展『みるオルゴール展~オルゴールを飾る匠の業~』を12月25日(月)まで開催している。

数百年もの間人々を魅了し続けてきたオルゴール

音楽装置として数百年もの間人々を魅了してきたオルゴールは、高度な機械技術や音楽性によってその音色を作り上げているが、技術は音色だけではなくケースや部品など見た目の装飾にまで、その業が施されている。

今回の企画展ではその装飾部分に注目し、こだわり抜いた匠の業を紹介。耳で楽しむという概念だけではなく、「見る」「視る」「観る」「覧る」「魅る」と様々な視点で見る新しいオルゴールの楽しさを紹介している。

外見や内部に施されたモチーフにも注目

展示では音色はもちろんのこと、外見に施された彫刻や象嵌、ステンドグラスなどだけではなく、中にまで施された絵画や竪琴モチーフにも注目しながら展示を楽しめる。

ミュージカルチャイナクローゼット レジナ社/アメリカ(1905)

ミュージカルチャイナクローゼット レジナ社/アメリカ(1905)

「ミュージカルチャイナクローゼット」は、当時最高級のクリスマス商品として販売されたオルゴール。曲面が美しい作品で、特に中央扉に組み込まれているステンドグラスには目を惹かれる。

インターチェンジャブルシリンダーミュージックボックス‐世界コロンビア博覧会モデル‐ ペイラード社/スイス(1892)

インターチェンジャブルシリンダーミュージックボックス‐世界コロンビア博覧会モデル‐ ペイラード社/スイス(1892)

「インターチェンジャブルシリンダーミュージックボックス‐世界コロンビア博覧会モデル‐」は、スイスが世界コロンビア博覧会(シカゴ万博1893)に出展した作品。蓋上部にはスイスの女神ヘルヴェティアが彫刻されており、硬い木材から生み出された身体のしなやかで優美な曲線や凛々しい眼差しをもつ繊細な顔の造形が楽しめる。

ミニチュアシンギングバード/スイス(1840年頃)

ミニチュアシンギングバード/スイス(1840年頃)

「ミニチュアシンギングバード」の銀のケースには七宝が施され、2体の彫像には象牙が使用されている。さらに貴重だった真珠が惜しげもなく配置されており非常に贅沢で美しい作品だ。

ポリフォン スタイルNo.47 ポリフォン社/ドイツ(C.1900)

ポリフォン スタイルNo.47 ポリフォン社/ドイツ(C.1900)

「ポリフォン スタイルNo.47」のケースの蓋には植物をモチーフとした木象嵌が施されている。質素でつつましやかさを感じるこのデザインは、ジャポニスムから影響を受けていると考えられている。

インターチェンジャブル サブライムハーモニー・ピッコロ ベーカー・トロール社/スイス(C.1885)

インターチェンジャブル サブライムハーモニー・ピッコロ ベーカー・トロール社/スイス(C.1885)

オルゴールの音色を変えるチターアタッチメントにも、高級機種ならではの職人の技をみることができる。「インターチェンジャブル サブライムハーモニー・ピッコロ」は、パーツひとつひとつに職人の美学が感じられる作品。