次に「台湾人気の統一独立分野の傾向分布」のグラフ(2023.7.12)。

この調査では「現状維持を継続する」(青)が20年の25.58%から32.1%に急増してトップになった。94年には38.5%とダントツだった「現状を維持するかどうか今後決める」(黒)はここ数年28%台で横ばい。「独立を志向する」(緑)は20年の25.8%をピークに21.4%まで下落した。18年に12.8%だった「直ぐに統一」は19年の香港デモの影響で6%まで減った。

60%以上の者が「私が台湾人だ」とのアイデンティティーを持ちながら、ここ数年「独立を志向する」者が減ったのは、偏に「北京による威嚇」だ。習主席は昨年の党代表大会で、台湾統一に「決して武力行使を放棄せず、あらゆる必要な措置をとる選択肢を残す」と述べた。その結果、「独立志向」は1年で3ポイント減った。威嚇がなければ90%以上の台湾人が独立を望むことは想像に難くない。

最後は「台湾人の政党選好傾向の分布」のグラフ(2023.7.12)。

92年には62.3%だった「中立or無回答」が41.2%となったが、以前としても最も多い。92年に34.4%だった国民党は10%台後半まで下落したが、ここ1年は3ポイント増えている。与党民進党は政権を獲得した2000年に26%を記録した後ほぼ20%台後半で推移するも、19年の香港デモで風が吹いたお陰で一気に34%まで上昇、蔡英文は2期目を圧勝した。

国民党は、民進党陳水扁政権が2期目に入った04年から30%が半ばまで上昇し、08年に馬英九が政権を奪回したが、やはり2期目に約10ポイント落とし、その後は低落が続いている。20年に台北市長だった柯文哲が政権を目指して作った民衆党が若者を中心に12%台まで支持を増やし、国民党に挑むまでになっているのは、先述した「提携話」の通りだ。

筆者には、仮に第三者機関の世論調査で国民党候補が勝って柯文哲が降りたとしても、若者を中心とする無党派層を取り込んだ民衆党支持票が国民党にそっくり行くとは思えない。国民党=共産党と見ている高雄の知人もいるからだ。立憲も共産党と連携すれば、立憲支持者の右派票が離れるだろう。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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